SFA・CRMを現場が使える仕組みにする方法【現場に定着させる運用のポイント9選】
近年、営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)が注目されており、営業効率化や顧客情報の活用に向けて導入を検討している企業が多くあります。自社の抱えている課題や状況に合わせ、適切なツールを導入することが重要です。
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その一方で、自社に合う製品の選定だけでなく、実際の導入・運用に苦慮している企業が多いのも現実です。
その理由はさまざまあると思います。
例えば、「これまでツール導入の経験がないが抜擢された」「営業経験はない情シスがプロジェクトをリードすることになった」など、これまでの経験や役割にはないことを求められている状況もあるでしょう。
SFAやCRMは導入することよりも現場に活用・定着させることの難易度の方が高い製品です。
そのため、導入時には現場の活用や定着も視野に入れ、誰にとっても使いやすい製品を選定・導入する必要があります。
90%が「営業強化」に期待。実現のカギは「現場に使われるSFA/CRM」
顧客情報を管理し、データとして活用するSFA/CRMソリューションには、一般的に以下の3つの機能があります。
- 「マーケティング」見込み顧客を管理し、傾向分析や販売促進を実施する機能
- 「営業」商談やノウハウを共有し、効率化や売上増につなげる機能
- 「サービス」受注後の保守やクレーム対応を管理する機能
シーイーシーに寄せられるご相談では、「営業活動に活用したい」というケースがおよそ9割を占めています。ツールの活用を通して、経営の課題として常に上位に挙げられる「収益性向上」や「売上・シェア拡大」に期待する企業が多いようです。機能としては「営業支援システム(SFA)」に分類されます。
しかし、高機能なSFAであっても、現場がデータを入力しなければメリットを実感できません。データ入力が行われて初めて意思決定につながる活用ができるのです。そのため、「現場に使われる仕組み」をどのように構築するかが、導入の成否を左右します。
「現場に使われる」を実現させる、導入前に整理しておくべき5つのポイント
「現場に使われるSFA/CRM」が実現するかどうかは、実は導入前の製品選定時に決まります。導入後強制的に使わせるといったことはできるかもしれませんが、それでは業務効率が落ち、導入効果が半減する可能性が高いです。
まずは、製品選定時に下記5点を整理しておきましょう。
- なんのために導入するのか
- どの業務を強化するのか
- どの機能を利用するのか
- どういった画面の見た目が親しみやすいか
- どういった入力方法が親しみやすいか
上記のように、目的や狙いを定めることが、現場に使われるSFA/CRMを導入するはじめの一歩です。新しく導入するときだけではなく、製品の乗り換えを検討する際にも重要なポイントとなります。
現場にSFA/CRMを導入・定着させるための4つのポイント
製品を選定した後は、実際に導入・定着に向けた取り組みに移ります。導入を担当するプロジェクトチームが事前に決めておくことや、実際にSFA/CRMを使う方や営業管理者層と議論をしておくべきことなど、いくつか考慮すべきポイントがあります。
特に、新しいツールの導入には抵抗がある人も多いです。業務上の必然性や、活用後の効果が理解されなければ、普段の業務で多忙な営業担当者は難色を示すこともあるでしょう。そのため、現場にスムーズに定着させるためには、次の4点に注意しましょう。
- 社内コンセンサスの形成
- 導入目的を明確化して関係者で共有
- 定着に向けた日常業務への組み込み
- 外部データベースを効果的に活用
下記で詳しく解説します。
導入・定着のポイント①社内コンセンサス形成
製品の比較検討後、「いざ導入をする」という機運が高まってきたら、社内コンセンサスの形成を行いましょう。ここで形成するべきものは、「現状どのような課題を抱えており、今回のSFA/CRM導入でどのように解決できるか」です。
企業によってコンセンサスを形成する対象者は異なりますが、主に営業担当者やマネージャーなどフロントに立つ組織から、製造部門や情報システム部門などの他部門、経営層などでしょう。立場によってそれぞれ役割や考え方が異なり、利害が相反することがあります。
例えば、営業担当者は情報を入力することが手間なので極力簡易的なものを望みますが、マネージャーや経営層はマーケティング観点から多くの情報を吸い上げるためにたくさんの入力項目を設けたがる、といったこともあります。他にも、複数の営業部門で1つのSFA/CRMを使う場合、用意しておきたい入力項目が異なることもあるでしょう。
組織規模が大きくなったり、利用する立場が多岐に渡るほど、コンセンサスの形成は大変です。導入を主導するプロジェクトチームは調整が難しいと感じることもありますが、ここが揃わなければ運用に至ることができません。重要なステップとして取り組みましょう。あらかじめプロジェクトチームに各部門の代表者を加え、意思決定を迅速にすることも考慮に入れるとよいです。
導入・定着のポイント② 導入目的を明確化して関係者間で共有
製品選定時に整理したポイントの1つである「導入目的と狙い」は、改めて明確化して関係者間で共有をしましょう。
先述のとおり、新しいツールの導入は万人に受け入れられるものではありません。そのため、「導入をすることで何が便利になるのか」を、各職種や部門、役割に置き換えて言語化しておくと、導入後がスムーズです。できる限り可視化し、経営層から担当者まで、キーパーソンには共有をしておきましょう。
なお、下の図は一般的な営業プロセスにおいて重視される指標を整理したものです。こうした図を参考に、誰にとって何がよくなるためのツールなのかを整理しておきます。
ただし、いきなりすべてを満たして改善することを目指さない方がよいです。すべてを一気に変えると、慣れないから使わないという人や、一部に不具合があるとその時点で使われなくなるリスクがあるためです。
まずどの指標をどの程度改善するのか、定性・定量の両面で検討しておきましょう。小さく初めて大きく育てることが、SFA/CRMの定着にとって大切です。
導入・定着のポイント③ 定着に向けた日常業務への組み込み
ここまで状況を整えたら、いよいよ定着に向けた日常業務へ組み込むことを視野に入れ、導入に入ります。そのためにも、これまでの業務プロセスの棚卸しや、必要に応じた再構築を行いましょう。
これまでSFA/CRMを使っていなかった方は、「データ入力」という新たな業務が発生します。乗り換える場合も、これまでの課題をクリアするために業務を見直す必要があるでしょう。そのため、導入にあたって業務プロセスの見直しは不可欠なのです。
例えば、「移動時などの隙間時間に利用できるシステムを導入する」「入力された情報に基づいて社内会議を実施し、紙の資料を作成する手間を減らす」など、SFAが当たり前に使われる環境を構築しましょう。
また、製品選定時に注目したポイントである「親しみやすい見た目や入力方法」は、このタイミングで活きてきます。普段目にする機会の多いエクセル・ワード・パワーポイントなどのオフィス製品のような見た目や操作性や、画面遷移や入力箇所がシンプルでわかりやすいものであれば、日常業務に組み込みやすく、スムーズな定着を実現できるでしょう。
導入・定着のポイント④ 外部データベースを効果的に活用
SFA/CRMは、顧客情報を中心に商談記録や購買記録などを蓄積していきます。そのため、中心となる顧客情報は常に最新状態になっていることが理想です。営業が自分で手直しをすることは手間なだけでなく、例えば所在地や商号変更時に気が付かないと、機会損失になりかねません。
そこでおすすめなのが、外部の企業データベースの活用です。SFA/CRMの製品によっては、外部データベースと連携し、最新の企業情報や財務情報などを自動で取り込むことができます。
外部データベースを利用し、自社でのデータ活用の基盤となる正確な顧客情報を整備することで、陳腐化せずに価値のある自社独自の顧客情報データベースを育てることができます。
まとめ
いかがでしたか?
使われるSFA/CRMの導入のためには、他にも多くのポイントがあります。今回はその中でも、特に外せないものをご紹介させていただきました。
それでも多くのポイントが出てきましたが、冒頭でもお伝えしたとおり、一番重要なことは誰にとっても使いやすい状態であることです。「使いやすい」にはさまざまな捉え方がありますが、例えば普段エクセルやワードを使っているのであれば、同じマイクロソフト製品のクラウドSFA「Dynamics 365 for Sales」を導入することがおすすめです。
エクセルやワードなどのオフィスとシームレスに連携でき、操作性もオフィス製品と近いため、慣れやすく定着しやすいという特徴があります。デバイスや場所を問わずセキュアに利用できるため、スキマ時間でも無理なく活用できるでしょう。
また、ビジネスに必要なアプリケーションが統合されているため、拡張性にも優れています。例えば、まずはSFAとして使い始め、マーケティングやカスタマーサポートに汎用させることが可能。利用するモジュールを追加することで、機能を容易に拡張できます。
シーイーシーでは、Dynamics365の豊富な導入支援実績を持っております。これから製品を選定したい、導入に向けた相談に乗ってほしいといったご要望から受けることが可能です。
随時相談会なども行っております。