選ぶコツやメリットは?クラウドサービス(SaaS/PaaS/IaaS)の種類を理解しよう

選ぶコツやメリットは?クラウドサービス(SaaS/PaaS/IaaS)の種類を理解しよう

選ぶコツやメリットは?クラウドサービス(SaaS/PaaS/IaaS)の種類を理解しよう


現在、多くの企業からさまざまなクラウドサービスが提供されています。そこでこの記事では、クラウドサービスの主な種類、SaaS・PaaS・IaaSについて解説。それぞれのメリットやデメリットに加え、選択のポイントなどを分かりやすく説明していきます。

目次

そもそもクラウドとは

クラウド(クラウドコンピューティング)とは、インターネットを経由し、サーバーやソフトウェア、データベースなどの各種リソースを活用できるようにしたサービスの総称。また、これらコンピューター資源をサービスとして提供、利用する形態を意味します。

英語で「雲」を意味する「クラウド(cloud)」が用いられた背景については諸説あるようで、一つは、システムエンジニアがネットワーク環境を図で示す際、雲で表現することが多かったこと。もう一つは、「掴みどころがない」「物理的な場所を意識することがない」といったイメージから、雲に例えられたことが主な理由とみられています。

ベンダーが不特定多数のユーザーへ提供するクラウド(クラウド環境)は、一般的に「パブリッククラウド」と呼ばれ、そのクラウドサービスは現在、急速に多様化しています。

クラウドの対義語「オンプレミス」について

クラウドの対義語に、「オンプレミス」と呼ばれる言葉があります。一般的にオンプレミスとは、自社が管轄する施設にサーバーや周辺機器といったハードウェアを設置・保有し、ソフトウェアなどの情報システムを独自に構築・運用・点検できるようにしたコンピューター環境を意味します。こうして構築された“自社専用のクラウド環境”は、「プライベートクラウド」とも呼ばれます。

分かりやすくいうと、ハードウェアを自社で保有し、組織内で情報システムを構築・活用できるようにしたものが「オンプレミス(プライベートクラウド)」。反対に、ハードウェアなどを自社で保有せず、代わりにベンダーが提供する各種リソースを利活用できるようにしたのが「クラウド(パブリッククラウド)」になるということです。

クラウドサービスの導入メリット

クラウドサービスの導入メリットは、大きく三つに分けられます。

コストの削減

各種コンピューターリソースを“必要性に応じて”利用できるため、コストパフォーマンスを最適化することが可能です。オンプレミスでサーバーを設置したり、ゼロベースから情報システムを構築したりするには、膨大なITコストが掛かります。しかし、各種クラウドサービスを活用すれば、これらの運用や開発、保守・点検に関する金銭的・人的コストを大幅に削減することができます。

時間や場所を問わず活用できる

クラウドサービスはインターネットを通じて各種リソースが提供されるため、時間や場所を問わずサービスを利用することができます。周辺機器や情報システムなどをオンプレミスで運用・管理する企業では、社外からこれらの作業を行うことは極めて困難です。しかし、クラウドサービスを利用すると、オフィスから離れた場所でもさまざまな操作が可能に。また、急なアクシデントにも対応することができます。

最新バージョンのシステムが利用可能に

事業者から最新バージョンのコンピューターリソースを享受できるため、基本的に自社でメンテナンスを図る必要がなくなります。サービスによっては最新の情報セキュリティが担保されており、ユーザーは安心して各種作業が行えます。

クラウドサービスの種類

インターネットを通じ、さまざまなコンピューター資源や機能を提供するサービス形態のことを「XaaS/ザース(X as a Service:サービスとしてのX)」と呼びます。ここでは、主なザースの種類、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、 IaaS(Infrastructure as a Service)それぞれについて詳しく解説していきます。

SaaS型

SaaS(サース)とは、インターネットを経由してソフトウェアの機能を提供するサービスの形態です。ユーザーは、パッケージ商品などのソフトウェアを購入して利用するのではなく、インターネットを通じて必要な機能のみを利用。その内容や利用期間に応じてサービス料を支払います。主な利用者は、一般ユーザー(エンドユーザー)です。

PCなどのデバイスにソフトウェアをダウンロードして使うケースもありますが、一般的にユーザーは、(提供者の)サーバー側で動作しているソフトウェアの機能をオンラインで利用します。

SaaSの主なメリット・デメリット
メリット必要な機能に絞って導入できるためコストを抑えることができる。
システム開発やセットアップなどが不要なため、導入までに時間が掛からない。
システムのメンテナンスや管理が不要になる。
デメリットユーザーの意向に合わせた自由なカスタマイズが難しい。
インターネットを介して提供されるため、一定のセキュリティリスクが伴う。
提供側のアクシデントによって、利用が一時制限されるケースがある。

SaaSの身近な例としては、「Gmail」や「Google ドライブ」、Microsoftが提供する定額制クラウドサービス「Microsoft 365 (旧 Office 365)」、ブログサービス「はてなブログ」などが挙げられます。

シーイーシーでは、Microsoftが提供する各種クラウドサービスの導入を一貫サポート。また、活用環境の構築などを支援しています。

>>Microsoft Azure活用クラウドサービス「Convergent」

PaaS型

PaaS(パース)とは、インターネットを経由し、データベースなどのミドルウェアや、アプリケーションの開発環境、またツールなどを提供するサービスの一形態。サースがソフトウェアを提供するのに対し、PaaSは各種ソフトウェアを利用するための実行環境(プラットフォーム)を提供します。主な利用者は、ソフトウェアの開発者や実装者。

一般的にパースの料金形態には、サービスを利用した時間や量に応じて料金が加算される「従量課金制」、また定額を支払うことで一定期間利用できる「サブスクリプション制」が用いられています。

PaaSの主なメリット・デメリット
メリット開発環境を自社で構築せず、自社開発のアプリケーションなどを活用できる。
システムの運用に関する障害対応やメンテナンスを受けることができる。
ハードウェアや仮想マシンの設定・運用などを事業者に任せることができる。
デメリットCPUやミドルウェアの選択が限られ、情報システム開発の自由度が低くなる。
インターネットを通じて利用するため、セキュリティ上のリスクが伴う。
特定の製品がインストールできない。

PaaSの代表例としては、Googleが「Google Cloud Platform(GCP)」の一部として提供する「Google App Engine(GAE)」、サーバーなどの各種リソースを提供する「Microsoft Azure」の一部「Azure Cloud Services」、またSalesforceが手掛ける「Salesforce Platform」などが挙げられます。

なお、Microsoft Azureとは、サーバーをインターネット上で管理したり、仮想ネットワークを構築したりする機能などをまとめたサービスのこと。昨今、システムエンジニアらの間で注目されるPaaSの一つです。

シーイーシーでは、Microsoft Azureの導入計画や保守などを支援。これらの活用に関するさまざまなサービスを提供しています。

>>Microsoft Azure活用クラウドサービス「Convergent」

IaaS型

IaaS(イアースまたはアイアース)とは、インターネットを通じ、コンピューターシステムを構築したり稼働したりするための基盤(プラットフォーム)そのものを提供するサービスの形態です。具体的な提供内容としては、仮想マシンや通信回線、仮想サーバーといったコンピューターのハードウェア環境など。主な利用者は、ICTサービスの運営者となります。

これらを借り受けるユーザーは、遠隔から操作することで自社に必要なソフトウェアを組み込み、さまざまな情報システムを稼働させることができるようになります。料金形態はPaaSと同様、使用したデータ通信量などに応じて料金が決まる「従量課金制」が一般的。

IaaSの主なメリット・デメリット
メリット自社のニーズに合わせた自由なシステム開発が可能になる。
情報処理の負荷に沿って、各種リソースを柔軟に追加したり削減したりできる。
サーバーなどに関する障害対応やメンテナンスを事業者に任せることができる。
デメリット高度なシステム開発が行えるエンジニアが必要になる。
OSや開発環境の管理を自社で行わなければならない。
外部のリソースを扱うため、セキュリティ上のリスクが伴う。

IaaSの代表例としては、GCPの一部として提供される「Google Compute Engine(GCE)」、Microsoft Azureの一部として提供される「Azure IaaS」、またAmazonが展開する「Amazon Web Services(AWS)」の一部「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」などがとても有名です。

注目されるAWSとは

クラウドサービスの中でも特に注目されているのが、Amazonが事業者向けに展開している「AWS(アマゾンウェブサービス)」です。これは、同社がECサイトの運営基盤として使用する各種コンピューターリソースを、インターネットなどを通じて提供するもの。現在100を超えるサービスが存在し、ユーザーは、企業がオンラインサービスを運営したり情報システムを運用したりする際に必要なリソースや機能を活用することが可能です。

同サービスはPaaSとIaaSの分野に強く、特にIaaSの市場(2019年)については、“世界で約45%のシェアを誇る”とも言われています(※米調査会社ガートナーによるIaaS型クラウドの市場調査)。

AWSはサービスが細分化されているため、ユーザーは必要なサービスのみを選択し、またそれらを組み合わせて活用することが可能です。コストパフォーマンスや柔軟性はGCPやAzureよりも高いとみられており、これらはAWSの強みということができるでしょう。
サービス形態別に見たAWSの主な種類
PaaS型「Amazon Relational Database Service(RDS)」
「Amazon Aurora」
「Amazon DynamoDB」
「Amazon Neptune」
IaaS型「Amazon Elastic Computing Cloud(EC2)」
「Amazon Virtual Private Cloud(VPC)」
「Amazon Simple Storage Service(S3)」

APN(AWS Partner Network)パートナーであるシーイーシーでは、「運用中のシステム環境がAWS環境に対応していない」、「AWS環境に最適なセキュリティ対策を実施したい」など、さまざまな顧客のお悩みを支援。安心してお客様がクラウドサービスを利用できるよう、AWSの導入から運用までをトータルでサポートしています。

>>スムーズなクラウド環境への移行を実現「Re@nove(AWS移行サービス)」

クラウドサービスを選ぶポイントについて

クラウドサービスを選択・導入する際は、コストやサービス内容、サポート体制、セキュリティなどに鑑みて、総合的に判断することがポイントです。

クラウドサービスの料金体系や種類、内容は、提供業者によってさまざま。導入検討時には、各社のサービスを比較し、自社に合ったサービスを見極めましょう。このため、「自社に必要な情報システムは何なのか」「クラウドサービスを扱う人的リソースがどれくらいいるのか」などを、事前に把握することが重要となります。

また、アクシデントに関する問い合わせ窓口の有無や、対応可能な時間帯の確認は大切です。特に、システム導入や移行のタイミングにいたってはアクシデントがつきもの。ベンダーのサポート体制については必ず確認してください。

さらに忘れてはならないのは、クラウドサービスのベンダーが、どの程度の技術や実績を持っているか。加えて、地震や災害、障害の発生時にも、各種システムを安定稼働できる対策が整っているかどうかなどもポイントの一つです。

クラウドサービスの導入についてはシーイーシーにご相談を

クラウドサービスへの理解は深まりましたでしょうか。シーイーシーは、IDC(インターネットデータセンター)を開設してから20年を超え、現在クラウドサービスに関する多様なサービスを提供。豊富な実績を持っており、各種リソースの移行や設定、運用、システムインテグレーションなどの面で、お客様をきめ細かにサポートしています。ぜひこれを機会に、ご相談いただければ幸いです。

関連サービス情報


AWS移行サービス
AWS環境へ移行するために必要なプロセスをワンストップでサポート


お問い合わせ
  • URLをコピーしました!
目次