商用UNIX(Solaris、AIX、HP-UX)からLinuxへ移行する方法

商用UNIX(Solaris、AIX、HP-UX)からLinuxへ移行する方法

商用UNIXとは?


1970年代から発売されたUNIXは、その後企業や、大学、研究機関で急速に普及し大きな技術発展を遂げ、1990年代までエンタープライズ環境でITインフラの重要なシステムになりました。

商用UNIXは、商用のUnix系オペレーティングシステム(OS)であり、主に企業環境で使用されるUNIXベースのオペレーティングシステムを指します。

商用UNIXは、主に企業や大学、研究機関などの大規模な環境で使用され、高い信頼性や安定性が求められるミッションクリティカルなアプリケーションやサービスの実行に適しています。代表的な商用UNIXのバリエーションには、Solaris(Oracle)、AIX(IBM)、HP-UX(Hewlett Packard Enterprise)などがあります。

その後、2000年代以降にx86サーバーの発展によりオープンソフトウェアのLinuxが主流になりましたが、当時開発した商用UNIXを利用したシステムを使い続けている企業も多いのではないでしょうか。

 近年、DX推進が叫ばれる中、既存のシステムをクラウドへ移行することは不可欠です。しかしながら、商用UNIXは主要なパブリッククラウド(例:AWSやAzure)でのサポートが得られません。DXの実現には、パブリッククラウドを利用できるようにするため、商用UNIXからLinuxへの移行が必要となります。

目次

商用UNIXが直面する課題

LinuxやWindowsのサーバーであれば、クラウドベンダーが提供する移行ツールを利用すれば比較的容易に移行できます。しかし、商用UNIXの移行はWindowsやLinuxのワークロードとは異なり、移行ツールの利用はできません。

商用UNIXの移行には、リプラットフォームやリファクタリングが必要です。

また、一般的に商用UNIXからLinuxサーバーに移行する場合、ハード(CPU)やOSなどの差異によるシステム資産への影響により、移行難易度が異なります。

未来図編集部

既存のUNIXシステム上で動作中の各種アプリケーションをLinux環境に移行することは、非常に大きな決断と費用、そして技術力が必要です。

商用UNIX移行時のポイント

クラウド化に向けて商用UNIXをLinuxへ移行する際のポイントは次の通りです。

・文字コードの違い(Shift_JIS /EUC→UTF-8)

商用UNIXの標準文字コードはShift_JISやEUCですが、LinuxではUTF-8が標準文字コードになります。 UTF-8にすると文字あたりのバイト数が変わりますので、プログラム内で「桁あふれ」しないようにプログラミング内の変数の桁数、DBテーブルの列定義の桁数などを増やす必要があります。

・エンディアンの違い(ビッグエンディアン→リトルエンディアン)

エンディアンとは、メモリーなどにデータを格納する際の、バイト単位のデータの伝送順序を指します。 商用UNIXが稼働するプロセッサーは一般的にビッグエンディアン、Linuxが稼働するプロセッサーはリトルエンディアンを採用しています。バイナリーデータを直接操作するプログラムでは、変更対応が必要です。

・OSコマンドの違い(UNIXシェル→Linuxシェル)

シェルスクリプトは、種類や実行環境によって実行するコマンドのパスやオプション、コマンドの実行結果の表示方法が異なるケースがあります。使用している機能のうちLinuxで非互換となる機能については、変更対応が必要です。

・各種ソフトウェアの変更またはバージョンアップ

商用UNIXで利用していたソフトウェアの中には、Linuxをサポートしていないものもあります。 また、すでにサポート期間が終了したバージョンのソフトウェアを使っているケースも多く、その場合はバージョンアップをする必要があります。ソフトウェアの変更またはバージョンアップにより非互換となる機能については、対応が必要です。

・使用プログラム言語のバージョンアップ

プログラム言語のバージョンが古い場合、これを機にバージョンアップをおすすめします。プログラム言語をバージョンアップする場合は、非互換となるプログラムは対応が必要となります。また、開発フレームワークのApache Struts 1のように、すでにサポートが終了しているフレームワークは、他の開発フレームワーク(Spring MVCなど)への置き換えが必要です。  

上記のように「ハードウェアの違い」「オペレーティングシステムの違い」「ソフトウェアの違い」を考慮した 移行作業が求められます。

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移行イメージ

ブラウザー Internet Explorer Chrome
プログラム言語 Java/C言語など Java/C言語など
APサーバー 商用APサーバー Tomcat、Jbossなど
データベース Oracleなど Amazon RDS
文字コード Shift_JIS/EUC UTF-8
シェル sh/csh bash/tcsh
OS 商用UNIX Linux
サーバー 商用UNIXサーバー クラウド基盤(AWSなど)

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未来図編集部

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商用UNIX関連のよくある質問

UNIXはまだ使えますか?

はい、UNIXは現在も使われています。主に大企業や特定の産業(金融、通信、政府機関など)で、信頼性の高い業務システムの基盤として稼働しています。
ただし、Linuxや他のオープンソースのOSが広く普及したことで、UNIXの利用は一部の業界に限定されつつあります。それでも、UNIXベースのOS(例:AIX、Solaris、HP-UX)は依然として堅牢性や安定性を求める場面で選ばれています。

Linux系とUnix系の違いは何ですか?

Linux系とUnix系の主な違いは以下の通りです。

1. 起源とライセンス – UNIXは1969年にAT&Tのベル研究所で開発された商用OSの一種です。 – Linuxは1991年にリーナス・トーバルズが開発したオープンソースのOSカーネルで、UNIX互換性を持ちながら無料で利用可能です。

2. ライセンス形態 – **Unix系**:商用ライセンス(例:AIX、Solaris、HP-UXなど) – Linux系:多くの場合オープンソースライセンス(例:Ubuntu、Red Hat Enterprise Linux、CentOSなど)

3. 利用範囲 – UNIX系は主に企業の業務用システムや特定の産業向けサーバーで使用されます。 – Linux系はサーバー、デスクトップ、IoTデバイスなど幅広い範囲で採用されています。

4. 互換性 – UNIX系は、POSIX(Portable Operating System Interface)標準に基づいて設計されています。 – LinuxはPOSIX互換を目指して設計されており、UNIXソフトウェアと多くの共通点があります。

AIXとはLinuxの何ですか?

AIX(Advanced Interactive eXecutive)は、IBMが開発したUNIX系の商用オペレーティングシステムです。AIXはUNIX標準(POSIX準拠)のオペレーティングシステムであり、Linuxではありません。同じPOSIXに準拠するため、UNIXとLinuxは似た操作や機能を持っていますが、AIXは特にIBM製ハードウェア(例:Power Systems向け)に最適化されています。

AIXとLinuxの主な違いは以下の通りです。

1. 開発元:AIXはIBMが開発した商用ソフトウェア、Linuxはオープンソースコミュニティ主導で開発されています。

2. ライセンス:AIXは商用ライセンスで利用されますが、Linuxは無料またはサブスクリプション形式の有料サポートも選択可能です。

3. 用途:AIXはエンタープライズレベルの業務システム向けに設計されています。

UNIXサーバーの販売終了はいつですか?

UNIXサーバーの販売終了時期はメーカーや製品に依存します。たとえば、Oracle SolarisやIBMのAIXサーバーなどの一部の製品は、現在も販売が続いていますが、他のUNIXベースのOS(例:HP-UX、SCO UNIXなど)は段階的に縮小または終了に向かっています。

各メーカーは、サポート終了のタイムラインを公式サイトや製品ページに掲載しています。重要な点は、製品が販売終了しても、長期のサポートプログラムが提供される場合が多いため、システムのアップグレードや移行の計画を立てる余裕があることです。

IBM AIX、Oracle Solaris、HP-UXなどの現行製品は一定のサポートを維持しており、ユーザーに安定性と継続性を提供しています。
一部の古いUNIX製品では、新規販売がほぼ完了し、移行を促す状況になっています。

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