【セミナーレポート】富士通製メインフレームのオープンフレーム化成功事例を詳細に解説
2024年8月2日に、「【ユーザー企業向け】生産・サポート終了迫る、富士通製メインフレームの移行先にAWSが最適な理由 〜セキュリティ・コスト・運用、全てを解決するAWSクラウド移行〜」というセミナーを開催しました。今回はその講演内容のポイントについてご紹介します。
なぜAWS?クラウド移行を成功させる鍵
最初に、AWSクラウドがビジネスにどのような影響を与えるのか、AWSを選ぶ理由と移行時の重要なポイントについて説明します。講演では、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社の大和田 敏子氏と尾崎 周也氏が登壇し、それぞれの専門的な視点から、クラウド移行のメリットとAWSの強みを詳述しました。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
パートナーアライアンス統括本部 パートナービジネス開発本部
シニアパートナーデベロップメントレップ
大和田 敏子 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
パートナー技術統括本部 テクニカルイネーブルメント部
パートナーソリューションアーキテクト
尾﨑 周也 氏
クラウドの真価は、お客様がインフラに貴重な社内外のリソースを使うのではなく、価値提供に集中できる環境を提供することです。必要な時に必要なだけ調達可能で、高い柔軟性と可用性を併せ持つITリソースや、幅広いマネージド型サービスの活用による新たなイノベーションの迅速なビジネス適用をご支援します。さらに、AWSが提供する広範なサービスが、クラウド移行における大きな利点であり、特にコスト削減や生産性向上に寄与する点が強調されました。
次に、クラウドバリューフレームワークを用いた説明では、クラウドが提供する5つの価値―コスト削減、生産性向上、オペレーショナルレジリエンス、ビジネスの俊敏性、そしてサステナビリティーが取り上げられました。AWSクラウドの柔軟なリソース調達機能により、オンプレミス環境では避けられない余剰キャパシティの確保が不要となり、これがコスト削減の一因となります。また、クラウドの利用により、ITインフラの管理が簡素化されることで、スタッフの生産性が大幅に向上することもデータに基づいて示しました。
一方、ビジネスの俊敏性においては、AWSクラウドが新しいアプリケーション機能の投入を迅速に行える点を強調しました。クラウドサービスを活用することで、従来よりも迅速にアイディアをリリースできる環境が整い、これにより競争力のあるビジネス展開が可能となることを示しました。
「なぜAWSなのか?」という問いに対する答えとして、AWSの広範なパートナーシップネットワークとユーザーグループの存在を強調しました。これらのネットワークが、企業がAWSクラウドを導入する際の大きな支援となり、成功に導く重要な要素となります。特に、AWSの強みは、24時間対応の日本語サポートや、ガートナー社による13年連続リーダーの評価に裏打ちされた信頼性にあります。
AWSクラウドは、柔軟性、コスト効率、信頼性、そして持続可能性の全てを兼ね備えたプラットフォームであり、移行において最適な選択肢であることを強調しました。
メインフレームのオープン化を実現するモダナイゼーションソリューションOpenFrame7
次に、メインフレームのオープン化を実現するモダナイゼーションソリューションOpenFrame7について、具体的な機能と成功事例を紹介します。講演を行ったのは、日本ティーマックスソフト株式会社のチーフ・プロダクト・マーケティング・オフィサーである羅 鍾粥氏です。
日本ティーマックスソフト株式会社
チーフ・プロダクト・マーケティング・オフィサー
羅 鍾弼(ラ・ジョンピル) 氏
OpenFrame7は、メインフレーム環境のモダナイゼーションを実現するための強力なソリューションです。このソリューションは、既存のCOBOLアプリケーションを再コンパイルすることで、言語を修正せずにオープンフレーム環境へと移行する「リホスト」と、COBOLをJAVAに変換し、オープンソースのSpring上で運用を可能にする「リアーキテクチャ」という二つの方法を提供しています。この組み合わせにより、企業は安全で効率的な移行を実現でき、リスクを最小限に抑えることが可能です。
羅氏は講演の中で、OpenFrame7が単なるコードのコンバージョンにとどまらず、セキュリティ層やネットワーク型DBや階層型DB、ミドルウェアまで含めた、インフラ全体を包括的にサポートするトータルソリューションである点を強調しました。これにより、企業は既存のメインフレーム環境を完全にモダナイズし、クラウドへの移行を容易に進めることができます。
さらに、OpenFrame7の成功事例として、日本国内外の複数の企業が紹介されました。IBM製や富士通製のメインフレームを使用していた企業が、OpenFrame7を活用してクラウド環境へと移行し、大幅なコスト削減と運用効率の向上を実現している事例が挙げられました。例えば、BMO Harris銀行は、OpenFrame7を用いてAWS環境への移行を行い、年間コストを66%削減することに成功しています。
このように、OpenFrame7は、企業のモダナイゼーションプロセスを加速させるための重要なツールであり、特にセキュリティやインフラ面での信頼性を重視する企業にとって最適な選択肢となります。そのため羅氏は、他の企業とのパートナーシップを活用し、今後もさらに多くの企業がOpenFrame7を採用することを期待していると述べています。
OpenFrame7を導入することで、企業は従来のメインフレームに依存することなく、クラウドネイティブな環境での運用を実現可能です。ゆえに、クラウド移行を考えている企業にとって、このソリューションは大きな助けとなるはずです。
COBOLなどで開発されたレガシーシステムであるメインフレームを「リホストマイグレーション」し、短期間かつ低負荷のオープン化を実現する
続いて、COBOLなどで開発された既存のアプリケーションとデータを可能な限り再利用し、短期間かつ低価格な「リホストマイグレーション」方式によるオープン化の具体例を紹介します。
ここからは、弊社、株式会社シーイーシーの営業本部 首都圏営業部の高橋 奈央が登壇し、メインフレームのリホストマイグレーションに関する具体的なアプローチとその効果について解説しました。
株式会社シーイーシー
営業本部 首都圏営業部
高橋 奈央
まず、メインフレームの市場における現状と課題を説明しました。メインフレームは金融機関や製造業などで広く利用されている基幹システムであり、その堅牢性と安定性から多くの企業にとって重要な存在であると同時に、その独自のハードウェアとソフトウェアに依存することで、システム更新が難しくなるという問題を抱えています。
この中で、メインフレームの主要ベンダーである富士通が、2030年にメインフレームの生産を終了し、2035年にはサポートを終了すると発表しました。そのため、現在メインフレームを使用している企業は、早急にシステムの移行を検討する必要が生じています。
メインフレームのオープンプラットフォームへの移行方法として、リホスト、リライト、リビルドの3つの方式を説明しました。その中でも、リホストマイグレーションが最も効率的でリスクが低い方法です。その理由として、リホスト方式では、既存のCOBOLで開発されたアプリケーションやデータをそのまま活用し、システム全体の構造を大きく変更することなく、新たなオープンプラットフォーム上で稼働できます。
具体的な例として、富士通製メインフレームをリホスト方式で移行する際に使用される技術についても触れました。ここでは、日本ティーマックスソフト社が提供するOpenFrame7を活用することで、COBOLやアセンブラ、JCLといった言語やデータベースの移行が可能であり、従来のプログラムを変更することなく新しい環境での運用が実現できると説明しました。
このほか、メインフレームのリホストマイグレーションを実施する際のメリットとして、特にAWS移行の際に得られるスケーラビリティやコスト削減の効果についても言及しました。加えて、クラウド環境への移行によって、柔軟なシステム運用が可能となり、将来的なシステム拡張にも対応しやすくなるとしています。
このように、リホストマイグレーションはメインフレームを利用している企業にとって、現行のシステム資産を最大限に活用しながら、次世代のオープンプラットフォームへの移行を実現するための具体的な選択肢とそのメリットを示すものです。この取り組みが、企業が抱えるレガシーシステムの課題を解決し、DXを推進するための一助となることを期待しています。
リホストマイグレーション移行先にAWSを選ぶメリットとは?~富士通製メインフレームのマイグレーション事例もご紹介~
最後に、リホストマイグレーション移行先にAWSを選ぶメリットと、実際の富士通製メインフレームやIBM製メインフレームのリホストマイグレーション事例を詳しく解説します。
AWSを移行先に選ぶ最大の理由は、その迅速な移行支援体制にあります。具体的には、AWSはオンプレミスからの移行を支援するために、多くのサービスを提供しています。これにより、短期間で効率的に移行を完了することが可能です。例えば、AWSのマイグレーションサービスを利用すれば、複雑なシステムでも迅速な移行が実現可能です。
リホストマイグレーションのプロセスも重要です。まず、無料診断を通じて移行の概要を把握します。その後、具体的な移行計画を立てたうえで、資産棚卸や調査分析を行い、変換対象の資産がAWS上で適切に稼働するかを確認します。次に、各テストを実施し、最終的には結合テストや総合テストを経て、新旧システムの差異がないかを確認します。
富士通製メインフレームのリホストマイグレーション事例では、リホスト方式を採用することで、メインフレームからの脱却に成功しました。このプロジェクトでは、移行計画に基づき、不要な資産の整理やソースコードの変換が行われ、最終的には安定稼働が実現されました。
同様に、IBM製メインフレームのリホストマイグレーション事例でも、リホスト方式により、オンライン処理の負荷を分散させ、システムの処理性能を確保しました。このプロジェクトでは、事前に綿密な計画を立て、移行資産の調査分析を行った結果、想定外の手戻りや障害を防ぐことができています。
これらの事例からも明らかなように、リホストマイグレーションは迅速で柔軟な対応が可能なため、非常に効果的です。
もしメインフレームのマイグレーションをお考えなら、ぜひ一度弊社にご相談ください。私たちは豊富な経験と知識をもとに、皆様の移行をスムーズにサポートしますので、お気軽にお問い合わせください。
メインフレーム脱却への第一歩は「無料診断サービス」から
Re@noveリホストマイグレーションサービスでは、これまでの開発実績をもとに、コンサルティング、設計開発、保守にいたるまで、すべてのプロセスをワンストップで対応いたします。
無料診断では、移行インパクト(移行難易度、検討ポイント、移行費用)を可視化し、最適な移行プランをご提案いたします。
メインフレームの脱却において、事前に検討すべきポイントを知りたい方は、まずは無料診断サービスをご利用ください。