RPA導入、成功・失敗の分かれ道【前編】 -RPAの適用業務とは-

「RPAを導入する」のではなく「この業務のこのタスクを代行するためにRPAを使う」という発想が必要


RPAを導入して成功する会社があれば、失敗する会社もあります。その成否の分かれ道は、「RPAに何を求め、どう計画を立てるか」の違いにあります。RPAの導入・定着をうまく進めていくためには、「RPAを導入する」から「この業務のこのタスクを代行するためにRPAを使う」への発想の転換が必要です。

目次

RPAの本質と現状とは?

RPAは働き方改革の手法の一つであり、ルーチンワークに関わっている人材をクリエイティブな業務に振り向け、高付加価値を創出できる環境づくりにつなげることが重要です。RPAの本質は、これまで人間が行っていた定型業務や反復業務といった、ルールに従うだけの業務をロボットに代行させることにあります。

しかし、RPAの導入が進むなか、ロボットの自走化・完全定着化において成功する企業と失敗する企業とに分かれているのが現状です。成功した企業では、RPAが成熟したテクノロジーとして社内に浸透し、「生産性の安定期」を実現しています。

RPAには適用業務の観点が必要

RPAには、適している「部門」「業務の種類」という考え方は当てはまらず、すべての業務が対象となりえます。RPAを導入したいと考えている業務の内容を分解していくことで、ロボットに代行させる業務の範囲が見つかります。

例えば、「RPAを導入して40%も業務削減した」という事例でも、削減できた業務のうち、RPAによる削減効果は5%程度や10%程度ということも多いものです。では、残りの30%以上は何による削減効果なのかというと、RPAを導入する際に業務が整理され、そもそも必要なかった業務が可視化されたことによる削減効果であることがほとんどです。これもRPA導入の一つのメリットといえます。

業務全体を分解していった場合、すべての業務をロボットに代行させようとすると、人手で行うよりも余計に手間がかかる場合があります。そこで、例えば10の業務があったときに、10すべてをRPAで自動化するという発想ではなく、「10ある業務のうち、7の業務をRPAで自動化する」というように、人手による業務を減らすという発想に変えていくことが重要です。「できる業務から自動化していく」という部分代行化の考え方が成功へとつながります。

ExcelマクロとRPAの違い

ExcelマクロとRPAの違いがわからない、という声もよく聞きます。重要なのは、ExcelマクロとRPAを別に考えるのではなく、「Excelマクロをうまく活用するRPAのロボットを開発する」という考え方の視点です。Excelマクロは、計算を自動化させるだけなら、RPAよりも早いことがあります。Excelマクロと同じ計算業務をRPAのロボットに代行させると、余計に時間が必要になる上、作業がうまくいかないケースもあります。

では、RPAはどんな点でExcelマクロよりも優れているのでしょう。
一つ目は、RPAはノンプログラミングなので保守性が高いところであり、二つ目は、タスクの自動化ではなくプロセスの代行化ができるところです。Excelマクロの場合、VBAでプログラミングする必要があり、ちょっとした設定の変更でもプログラミング知識が必要になります。その点、RPAのロボットはノンプログラミングのため、設定の変更が容易にできます。また、Excelマクロはタスクの自動化としては非常に早いのですが、Excelマクロ自体が自分でExcelを立ち上げ、そのタスクを実行することはできません。

一方、RPAは人手で実行しているパソコン業務=プロセスを代行します。例えば、「Excelマクロと他のシステムを立ち上げ、システムの中から必要なデータを抽出し、その抽出したデータをExcelマクロに貼り付けて実行する。そこで出力されたファイルをサーバー内に格納する」といったタスクの連続であるプロセスそのものを代行できるのがRPAです。

このように、RPAにも作業によって向き不向きがあります。Excelマクロのような自動化ツールと組み合わせて使い分けることも大切です。

まとめ

RPAを導入する際には、まず自社の業務整理を行い、業務内容の可視化をした上で、RPAの特性を考えながら適用する業務を選定するようにしましょう。さらに、業務のすべてをRPAのロボットに代行させようとせず、部分代行化も検討していくことが必要です。繰り返しになりますが、すべての業務を代行させようとすると、人手よりも手間がかかる場合もあります。費用対効果を見極めながらRPAを実装していくことが重要です。

またExcelマクロのような一つのタスクだけを自動化するツールもあります。このような自動化ツールとRPAを組み合わせ、プロセス全体を自動化していく工夫を行うことで、より効果的なRPA導入を実現できます。

RPAの導入・運用フェーズにおいて、RPAを定着させるには、適用する現場の意識改革や情報共有が重要です。後編では、RPA導入・定着のためのポイントを探っていきます。

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RPA導入で実現する働き方改革!

労働力人口減少の中で、企業が生き残るための戦略や、労働力不足への対策や、ルーチンワークからの解放など、RPAの導入は、働き方改革を実現する中心的な役割として期待されています。一方で、残念ながらうまくいかず失敗してしまう事例も少なくありません。現在RPAが注目されている背景や、RPAを導入することのメリット、RPAの導入時に多くの企業が直面する課題についてお伝えします。
内容
  • 第 1 章 労働力人口減少の中で企業が生き残るための戦略、RPAとは?
  • 第 2 章 RPAを効果的に活用する業務選定のポイント
  • 第 3 章 RPAを導入・運用するうえでの課題と解決方法

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