位置情報活用アプリPlusLocation®のIoT技術を支えるAWSサービスの活用事例

位置情報活用アプリPlusLocation®のIoT技術を支えるAWSサービスの活用事例

開発環境の早期立上げ、強固なセキュリティ、拡張性で位置情報活用アプリPlusLocation®を支える
AWSのアーキテクチャーから見えてくるコネクティッドの未来


”便利”をさまざまな分野に提供するアプリケーションプラットフォームを開発しサービス提供している株式会社シーイーシー。位置情報を活用し、リアルタイム性を求める屋外や、移動を伴うシーンで活用できるアプリケーション「PlusLocation®」を紹介します。

目次

リアルタイム性を求めるシーンで活躍する位置情報活用アプリPlusLocation®

リアルタイム性を求めるシーンで活躍する位置情報活用アプリPlusLocation®

モビリティ・自治体・産業・物流・ヘルスケアなどでの活用に期待

PlusLocation®は、位置情報を活用する分野でさまざまな使い方に対応するアプリです。場所や移動のリアルタイム性を求めるシーンであれば、仕事や暮らしなどニーズは問いません。位置情報を活用し、カスタマイズ性のあるアプリで“便利さ”を提供していきます。

利用するうえでの特長は、スマートフォンやタブレットにアプリをインストールするだけで運用できること、クラウドのAWSを活用しハードウェアの設置や環境構築が不要なこと。しかも、要望に応じて個別にカスタマイズできるため、モビリティ・自治体・産業・物流・ヘルスケアなど、幅広いニーズに応じた活用が見込めます。

自治体の活用例(道路整備&放置自転車)

道路整備における取り組みを紹介します。ある自治体で「道路の危険な凸凹の場所を特定・把握する」業務がありました。その業務のフローは、

  • 調査員が道路を歩いて探索。
  • 道路の凸凹を発見したら紙に記録し、その状態をスマートフォンで撮影。
  • 役所に戻って記録した紙と写真をもとに報告書を作成し、上席に提出。

「報告書の作成に手間と時間がかかり、紙での記録であるため場所の特定に時間がかかり、なかなか対策を開始できない」ということで、業務効率化の要望がありました。そこで、採用していただいたのがPlusLocation®です。スマートフォンで写真を撮り、現状のメモをつけてその場でアプリ上で更新。更新情報から道路の凸凹がある位置を統合型GISと連動して地図上にリアルタイム表示する仕組みを構築。視覚的にも分かりやすく、危険な凹凸のある場所をリアルタイムに把握できます。と語るのは、コネクティッドサービス事業部第一サービス部 多田 妃依莉。
また、ある自治体では放置自転車の問題がありました。やはり、調査員が街を歩き放置自転車を見つけては紙に記録し、写真を撮るやり方だったため、先ほどの道路整備のような仕組みを展開。業務効率化に向けて大きく前進しました。これらのデータはAWS上に蓄積されるため、組織間を跨いだデータ共有が可能。エリアや管轄、業務の垣根を超え、さまざまな問題に大きな枠組みで取り組むことができます。

コネクテッドカーで培った技術を目に見える形やサービスへ

PlusLocation®が誕生したきっかけは、大手自動車メーカーの受託開発で積み重ねてきた技術とノウハウを目に見える形やサービスとして提供し、より多くのお客様に新しい価値を知ってもらう機会を増やしたいという想いからと語るのはコネクティッドサービス事業部第一サービス部 グループマネージャー 栗原 慶典。「我々の部門は、コネクテッドカーに関連するビッグデータの処理を得意としています。その技術とノウハウを活かせば、あらゆるものをコネクティッドできるのではないかと考え、これまでの自動車業界に向けた価値の創出を、もっと広い範囲に広げるたいと思いました」と熱く続けます。

PlusLocation® を支えるAWSのアーキテクチャーと優位性

PlusLocationⓇ を支えるAWSのアーキテクチャーと優位性

AWSのアーキテクチャー

PlusLocation®はスマホアプリがユーザーインターフェースの役割、スマホアプリから送信されてくるGPSセンサー(位置情報)、加速度センサー(1秒における速度変化)、ジャイロのセンサー(角速度)などの情報を受け取り、さまざまな処理を行うのがAWSの役割となっています。具体的にはスマホアプリの情報をAWS IoT Coreで受け取り、Kinesis Data Firehoseを使ってリアルタイムにデータストアのAmazon S3へ配信。時系列データはAmazon Elasticsearch Serviceで受け止め、データを蓄積しています。

スマホアプリのボタン操作などの処理もAWS上で行っています。まず、スマホアプリのユーザー認証サービスはAmazon Cognito、プッシュ通知の類はAmazon Pinpoint。「到着しました」「現在、移動中です」などのステータス変更はAWS Lambdaで処理し、ステータス管理はAmazon DynamoDBが行います。収集したデータを地図上にプロットし、どのルートを走行して良いかなどを視覚的に分かりやすく表示する処理はAmazon QuickSightが担っています。

IoTに必要な機能が数多く実装しているAWS

PlusLocationの処理をAWSで行っている理由は以下の3つです。

<迅速な開発環境>

PlusLocation®のようなIoTを展開する場合、リアルタイムストリーミング、API、BI、メール通知など、開発環境には多数の機能を実装しなければなりません。この点について多田は「AWSはPaaS(Platform as a Service)を展開するうえでDXに必要な機能が数多く提供されています。開発側の視点では、コーディング量を圧倒的に削減できますから、開発期間の短縮が可能。素早いカスタマイズとPoC実施につなげられます。実際、冒頭でお話した『道路の危険な凸凹の場所を特定・把握する』のカスタマイズはわずか3日で完了。すぐにPoCを実施することができました。このように、PoCから納品までのリードタイムを大きく圧縮できる点で、AWSは優れたプラットフォームだと考えます」と語ります。

<本番運用に対応する強固なセキュリティの実装>

PlusLocation®で利用しているユーザー認証サービスのAmazon Cognitoは、強固なセキュリティを担保できます。しかも、容易に実装できるため、セキュリティ対策に大きな開発コストをかける必要がありません。

<容易に拡張できる>

拡張性はAWSの大きなストロングポイントです。「例えば、不正アクセスのブロックといったセキュリティ要求を受けた場合、AWS WAFを入れるだけでファイアウォールを設置できます。また、スマ―トフォンの利用台数が100台から1,000台、10,000台と増えていった場合でも、スケーラビリティが担保されていますから、まったく不安がありません」(栗原)

PlusLocation®に必要なマーケットインの思想と交通弱者に向けたサービス展開

PlusLocationⓇに必要なマーケットインの思想と交通弱者に向けたサービス展開

AWSの機能の数々がマーケットインの思想へ導く

PlusLocation®の開発を進めるなか、多田は技術的なところでの苦労は感じなかったと語ります。「AWSにおける開発実績を通じてアーキテクチャーのノウハウなどを数多く蓄積していること、AWSに精通したエンジニアをアサインしていることなどにより、開発の苦労はありませんでした。ただし、マーケティングには苦労しました。お客様の課題やユースケースの仮説を立てても、予算や開発期間などを鑑みると、どうしてもプロダクトアウトの思想に寄ってしまいます。マーケットインの思想は思った以上に難しいと感じました」

とはいえ、多田は「AWSを利用しているからこそ、そういう苦労に直面できた」と前向きに捉えています。「AWSが数々の機能を提供するのは、『お客様が求める価値の創出に時間を費やしてほしい』からにほかなりません。PlusLocation®のコンセプトは、少なくともAWSの製品思想に沿っていますので、何とかマーケットインの思想に近づけるように精進していくつもりです」

Society 5.0を踏まえ、MaaSやライドシェアなどの分野も見据えていく

少子高齢化の加速に伴い、交通アクセスが制限される人が増加する世の中はすぐそこまで迫っています。コネクティッドサービス事業部は、そういった価値は高まっていくものと考えています。「モビリティで培ってきたノウハウとSociety 5.0を踏まえ、MaaS(Mobility as a Service)やライドシェアなどの分野でPlusLocation®の価値を提供できればと考えています。そのためには、スピーディに開発環境が用意でき柔軟なカスタマイズができるプラットフォームであるAWSは必要不可欠です。引き継ぎ、AWSを基盤にPlusLocation®の開発を進めていきます」と栗原は力強く語りました。

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