AVD構築の前に知っておきたい!新機能や特長について
リモートワークの推奨や働き方改革の影響を受けて、ニーズが高まっている仮想デスクトップサービス(VDI)。ゼロベースからVDI環境を構築するには、開発コストも時間もかかり過ぎてしまいます。自社のデスクトップ・アプリケーションをクラウド上の仮想マシンに簡単に移行したいというニーズに応えるサービスとして注目を集めているのが、Microsoft社が提供する「Azure Virtual Desktop(AVD)」です。AVDの環境構築には、どのようなメリットがあるのでしょうか。構築に必要な条件、構築までの流れなどを詳しく解説します。
Azure Virtual Desktop(AVD)の環境を構築すべき?
AVDの構築を検討しているという方のために、構築すべきかどうかのポイントを整理しました。ぜひ参考にしてください。
安全なリモートワーク環境を構築できる
AVDは、場所やデバイスに関係なく、いつ、どこからでも仮想デスクトップを利用できるサービスです。しかも、Azure上の仮想デスクトップ基盤にファイルを保管するため、クライアント端末にはデータが残りません。
またAVDは、従業員の勤怠管理にも役立つ点が評価されています。AVDの利用状況を管理することで、社員の稼働状況を容易に把握できるため、感染症対策や働き方改革の一環として、リモートワーク環境を整えたい企業にもおすすめです。
手軽に導入できる
仮想デスクトップサービスを利用する場合、ゼロから設計、開発する必要はないとしても、管理コンポーネントの管理やメンテナンスは必要です。つまり、ゲートウェイや接続ブローカーなど、仮想化に必要なソフトウェアや機器などは自前で用意しなければなりません。
しかし、AVDなら管理コンポーネントの用意は必要ありません。Azure上のサービスとして提供されているため、手軽に導入できるのです。初期費用や管理コストを抑えつつ、クイックスタートを切れる点が高く評価される理由の1つです。
運用コストが安い
管理コンポーネントの費用が必要ないことに加えて、Windows 10マルチセッション接続によって、1台の仮想マシンに複数ユーザーが同時に接続することができます。通常であれば、1ユーザーに対して1台の仮想マシンを割り振る必要がありますが、AVDであれば1台の仮想マシンを複数のユーザーで利用可能。加えて、用途に応じたカスタマイズができるため、コストを抑えつつ柔軟な環境の整備ができるのです。
AVDの活用例や導入事例についてはこちらで紹介しています。
AVDの構築メリット、デメリット
AVDの構築によって得られるメリットはもちろん、デメリットについてもしっかりと理解しておくことが大切です。主なメリット・デメリットを説明します。
メリット-1 高額なIT機器が必要ない
ネット環境さえあれば、いつ・どこから・どのようなPCでもアクセスできるのがAVDの素晴らしい点です。これによって、ハイスペックなPCを購入する必要がなくなります。最低限のスペックを持ったPCがあれば、仮想マシンを使って高度な計算やシミュレーション、設計業務もスピーディに行えます。建築業界やIT業界など、ハイスペックなPCによる高速処理が必要な業界でも、AVDの導入が進んでいます。
メリット-2 情報システム部の負担軽減
一般的に、VDI環境を用意するためには、さまざまな機器やソフトウェアが必要です。社内のIT担当者や情報システム部門が、「コントロールプレーン」と呼ばれる管理コンポーネントなどを準備して管理しなければなりませんが、AVDであればその必要もありません。管理コンポーネントのほとんどをAzure上で提供しているため、自社のデスクトップアプリケーションをクラウド上の仮想マシンに移行する際の準備が少なくて済むのです。
メリット-3 マルチセッション接続が可能
AVDの目玉機能である「マルチセッション機能」によって、最小限の費用で仮想デスクトップを運用することが可能です。Windows 10のマルチセッション接続に対応した唯一のサービスがAVDであり、他のVDIにはない独自機能として注目されています。従来はWindows Severだけが持つ機能でしたが、新たにAVDが対応したことで、低コストで複数ユーザーが、同一の仮想デスクトップを利用できるようになりました。
―AVDのマルチセッション接続の詳細は、こちらで解説しています。
デメリット-1 同時接続でパフォーマンスが下がることがある
AVDでは、セッション単位でリソース制限をかけることができないため、使用する状況によってパフォーマンスが低下する可能性があります。複数ユーザーが1台の仮想マシンに同時接続するため、リソースを過剰に使用してしまうユーザーがいる場合、他のユーザーに影響する点がデメリットといえます。
デメリット-2 ユーザーごとのカスタマイズができない
AVDのメリットの1つに、自由なカスタマイズが可能な点をあげることができます。一方で、複数のユーザーが同じ環境を共有するため、ユーザーごとのカスタマイズができないことはデメリットになるかもしれません。複数のユーザーが異なる仮想デスクトップを利用したいといったニーズには対応できない点は、注意が必要です。
デメリット-3 1つの障害で全体に影響が出る
複数ユーザーが同じ仮想デスクトップ環境を共有するという仕組みである以上は、障害が発生した場合、すべてのユーザーに影響が及んでしまいます。
なお、AVDの仕組みやメリットの詳細などはこちらで解説しています。
AVDの構築に必要な条件
AVDの構築には、どんな要件や条件が必要になるのでしょうか。基本的な部分について解説します。
「AVDのライセンス」と「Azureのライセンス」が必要
AVDを利用するためには、Windows 10 Enterprise E3およびMicrosoft 365 Business Premium以上のライセンスが必要です。また同時に、Azureライセンスも必要になります。なお、Azureのライセンス料は、AVD利用時に稼働する仮想マシン・ストレージ・ネットワークといったリソースに対して発生する費用となるため、従量課金制でコストが発生します。
Active DirectoryとMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)の同期
AVD を構築する方法は2つの同期方法があります。
1つ目はMicrosoft Entra Domain Services(旧Azure AD DS)を利用して同期する方法です。
2つ目はオンプレミスAD(Active Directory)プラスMicrosoft Entra Connect(旧Azure AD Connect)用サーバーを使用して同期することが可能です。
正常に同期されると、自動バックグラウンド同期によりマネージドドメインを使用するアプリケーションで、各オブジェクトと資格情報を使用できるようになります。
AVDの環境構築から運用の流れ
AVDの導入・運用にあたり、環境の構築が必要です。ここでは、シーイーシーが提供するAVD導入・運用サービスに沿ってフローを紹介します。
(1)無料相談会
無料相談会では、AVDの概要や特徴を説明しています。新規構築に関する質問や疑問、導入までの流れなどを相談いただけるため、AVDの導入や運用サービスを検討する際はお申し込みください。
(2)検証環境構築
AVDの検証環境を構築します。導入の目的を達することができるかどうか、既存のシステムやアプリケーションなどとの相性がよいかどうかなど、事前に検証環境で確認いただけます。あわせて、CPUやメモリー使用率など、AVD環境の性能評価も実施します。検証環境は、利用ユーザー数やマスターイメージ、ホストプールの数量に制限があります。また、オプションとして既存資源への接続やネットワーク接続なども対応していますので、お気軽にご相談ください。
(3)本稼働環境構築
構築するAVDの環境と本番環境が稼働を開始した後の運用を設計します。AVDの性能とネットワークの評価をもとに、お客様の業務に適した環境をご案内します。さらに、コスト削減やパフォーマンスの最大化など、ご要望に応じてAVDの環境構築をご提案します。
(4)監視運用(オプション)
AVDの導入後も、環境の監視や運用保守、障害対応、メンテナンス、定期バージョンアップへの対応などを行います。運用中に問題が発生していないか24時間365日、監視・運用保守をしています。障害時のサポートや各種問い合わせ対応もあるため、安心して運用いただけます。ご希望の際は、個別にご相談ください。
まとめ
一般的に、VDI環境を構築するには、多くのコストと専門スキルが必要です。一方、AVDは専用画面からクラウド移行が可能であり、管理コンポーネントを特別に用意する必要もありません。構築期間とコストを大きく削減できる点が魅力です。AVDの構築にはいくつものやり方があり、どの方法が最適であるかは、自社の環境によって異なります。AVD導入サービスを手掛ける専門の会社であれば、業務に合わせた最適なAVD環境構築が可能です。ぜひ一度、ご相談ください。
また、AVDを導入しようと思っても、プラン選択や環境構築、運用など、どこから始めて良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。シーイーシーでは、1回につき1社限定の個別相談会を開催しています。ぜひご利用ください。
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