電子帳簿保存法とは?紙の書類・帳簿は電子化をおすすめする理由

電子帳簿保存法とは、所得税法や法人税法に関連する書類や帳簿を保管する場合に必要なことをまとめた法律です。仕訳帳や損益計算書、請求書や領収書などが対象となります。国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することによって、書類の作成や保管が不要になり業務の効率化やコスト削減につながります。

この記事では、電子帳簿保存法について詳しく説明していきます。また、電子帳簿保存法に対応し、紙の書類や帳簿をスムーズに電子化できるツールを紹介します。(※2023年5月時点)

目次

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、決算書や帳簿などの国税関連の書類を特定の条件を満たすことで電子的に保存できる法律です。2023年12月31日までは、電子取引の情報を書面に印刷して保存することが許容されていますが、2024年1月1日以降は必ず電磁的記録で保存する必要があります。電磁的記録での保存が困難な場合でも、求めに応じて出力した書面を提示・提出したり、データをダウンロードして提供できれば問題ありません。電子帳簿保存法の対象となるのは、法人税を納めている法人以外に所得税を納税する必要がある個人事業主も挙げられます。

このため、企業の規模や法人、個人といった枠に関係なくすべての事業主が対象となると考えましょう。2024年1月から本格的な運用開始となるため、2023年12月31日までに対応することが求められます。

電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となるのは次の3種類です。

  • 取引時に利用する書類
  • 決算に利用する書類
  • 国税関連の帳簿

取引時に利用する書類には、契約書をはじめとして見積書や領収書などが含まれています。決算関連の書類とは主に確定申告などに必要な損益計算書や賃貸対象表などが挙げられ、棚卸表も決算関連書類に含まれます。

売掛帳や仕訳帳、固定資産台帳など国税に関連する帳簿はすべて電子帳簿保存法の対象です。これまで紙ベースで保存していた企業や個人事業主にとって、これらの書類がすべて電子帳簿保存法の対象となるため、電子保存が必要となります。

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法とは、帳簿や請求書など国税関係の帳簿について特定の条件を満たすことで電子化して保存できる法律です。メールに添付されて送られてきた請求書や領収書などの証憑類であっても、電子取引に該当します。
しかし、届いた添付メールをそのまま保存したのでは電子帳簿保存法で求める要件を満たしていません。下記に説明する電子帳簿保存法における要件を満たすことで、初めて電子帳簿保存法の対象となります。

電子帳簿保存法の目的

電子帳簿保存法とは、業務効率化やコスト削減が目的です。従来のように領収書や請求書などにおいて印刷して紙で保存していると、保管場所の確保や印刷代などが必要でした。さらに毎度書類を管理する必要があり、担当者にとって大きな負担となるケースは少なくありません。
そこで必要書類を電子データで保存することによって、書類を印刷したり保管したりする必要がなくなり、担当者の負担軽減やコスト削減を可能としています。

電子帳簿保存法に違反した場合

電子帳簿保存法に違反した場合は青色申告が承認されない可能性があります。仮に青色申告の承認が取り消されると最大65万円の特別控除が対象外となり、さらに欠損金の繰り越しも認められないため、支払うべき税金額が高くなる可能性があります。

電子帳簿保存法における要件

電子帳簿保存法施行規則第3条第1項において、帳簿の電子データを保存するための要件を設定しています。紙ベースの書類や帳簿を電子化して保存する場合は、それぞれ要件が異なるため注意が必要です
電子帳簿保存などの要件は次の3つが挙げられます。

  • 真実性の確保
  • 可視性の確保
  • スキャナー保存の要件

それぞれの要件について詳しく説明していきます。国税庁が設定している要件とともに理解するようにしましょう。

真実性の確保

保管されている書類などが正しい情報であることを証明する必要があります。例えば、記録事項を修正または削除した場合は、電子計算機処理システムなどを使って変更した事実を確認できなければいけません。保管しているデータはオリジナルなものである必要があります。
真実性を確保するためには、電子データの訂正削除を防止できるようなシステム関係書類の準備や、書類にタイムスタンプを付与して保存、さらには電子データを修正した場合に記録が残るシステムを使うなどの方法が挙げられます。

国税庁では、次のように電子帳簿保存時の要件を施行規則にて設定しています。

要件①: 訂正・削除履歴の確保(帳簿) 施行規則第3条第1項第1号

要件②: 相互関連性の確保(帳簿) 施行規則第3条第1項第2号

要件③: 関係書類等の備付け 施行規則第3条第1項第3号

※参考:電子帳簿保存時の要件(国税庁

可視性の確保

電子化で保存している書類をいつでも紙ベースに出力できる必要があります。電子化で保存している書類において、顧客名や日付、金額などで検索できる必要があります。また、解像度や階調も適切であることが必要です。
電子データにおける検索機能の確保や解読可能装置を設置するといった要件も設定されています。
可視化の確保においても施行規則において次のように規定で決まっています。

要件④ 見読可能性の確保 施行規則第3条第1項第4号

要件⑤: 検索機能の確保 施行規則第3条第1項第5号

※参考:電子帳簿保存時の要件(国税庁

スキャナー保存の要件

スキャナーで明確に書類を読み取るために、赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上であり、なおかつ解像度が200dpi相当以上であることが必要です。見積書や検収書、注文書などの資金の流れに直結しない一般書類は白黒階調で保存できます。

このように書類によって保存するべき色合いが異なるため注意するようにしましょう。電子帳簿保存法に対応しているスキャン機材を使うことをおすすめします。対応しているスキャンができるツールを活用することで、より業務効率化につながります。

スキャナー保存制度を活用することで、書類を電子化して保管することが可能です。結果として、保存スペースが不要で、経理業務において業務効率化につながります。さらにリモートで経理計算できるなどさまざまなメリットがあります。

書類・帳簿を紙保存でなく電子化するべき理

書類・帳簿を紙保存でなく電子化するべきである理由には次の点が考えられます。

  • 紙で保存する危険性
  • 電子データを紙で保管すると法律違反

紙で保存する危険性

請求書や契約書など紙で作成した書類を保存すると、紛失や情報漏えいの可能性があります。例えば機密情報が書かれている書類を、社内に放置したり社外に持ち出すと、紛失や盗難の危険性があります。

そのため常に保管方法に気を使う必要があり、施錠できる場所を準備することが必要です。書類は施錠保管するだけでなく最後に退出する人が施錠の確認をおこなうなどの作業が求められます。このほか、保管期限を設定したり退室時に書類を放置したりしていないかどうか確認するなどさまざまな手間が必要です。施錠するだけでなく鍵の管理も必要です。

このように、領収書や請求書、契約書などを紙で保管しているとリスクが高いだけでなく、リスク回避するための手間がかかります。

電子データを紙で保管すると法律違反

2024年1月からメールなどで届いた領収書や請求書を印刷して保管すると法律違反となります。紙の帳簿類を活かす場合は、電子化することでスキャナー保存することが求められます。

電子取引で電子保存する場合、タイムスタンプの付与、編集が考慮されたシステムの利用、訂正や削除防止に関連する事務処理規程の準備のいずれかが必要です。紙を印刷して保存すると、これらのいずれにもあてはまらないため法律違反となります。

本来は、令和4年度税制改正大綱により2022年1月より適用開始でしたが、2年間の猶予が設定されて2024年1月から適用開始となっています。

電子帳簿保存に対応するためのスキャナー保存については次のサイトもご覧ください。

書類・帳簿の電子化の方法や電子化に必要な機器とソフトウェア

電子帳簿保存法において、書類や帳簿の電子化・保管方法を把握することが必要です。また、電子化するために便利なツールやソフトウェアを活用することで、業務効率化につながります。

書類・帳簿の電子化の方法

電子化するためには次の方法が挙げられます。

  • カメラで撮影
  • 複合機やスキャナー専用機で電子化
  • 外部サービスの利用

書類・帳簿の電子化におすすめのスキャンデータソリューション

シーイーシーでは SmartSESAME MultiScan!を提供しています。複合機を使ったスキャンと簡単な入力で、紙文書を電子帳簿保存法対応の電子データに変換することが可能です。また複合機はメーカーを問わず、ほとんどの機種に対応しています。(※一部対象外の機種があります。)文書管理システムからの取り込みにも対応しています。改ざん対策として、リビジョン管理機能があるクラウドストレージとの連携も可能です。

電子帳簿保存法に対応した「SmartSESAME MultiScan!」については、こちらで解説しています。

電子帳簿保存法に対応する書類・帳簿の管理方法

電子帳簿保存法に対応する書類・帳簿を管理するためには次のような方法が挙げられます。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナー保存
  • 電子取引

それぞれの方法によって特徴が異なるため、できるだけ効率のよい方法を選ぶようにしましょう。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、電子上で作成した書類を電子データとして保存する方法です。電子上において作った書類や帳簿をそのまま保存するため手間をかける必要がありません。例えば、会計システムで作った損益計算書や賃貸対照表、電子取引に該当しない請求書の控えなどが電子帳簿等保存にあてはまります。

シーイーシーでは、Microsoft社のPower Platformを活用し、帳簿の電子保存法に対応したアプリケーションの構築サービスを提供しています。

Power Platformで構築したアプリケーションでは、帳簿の作成やデジタルでの管理だけではなく、定期的に発生する繰り返し作業を自動化することが可能で、業務負担の軽減が期待できます。

情報の一元化、管理体制やセキュリティ面の強化など、電子帳簿保存法に対応する上でのさまざまな面で、効率化とクオリティアップが可能です。 詳しくは次の記事もご覧ください。

スキャナー保存

スキャナー保存とは、紙ベースの書類をスキャン、または撮影して保存する方法です。請求書や領収書など紙ベースの書類をスキャナーで読み取って保存することで、電子帳簿保存法にあてはまります。

会計システムなどに入力する必要がないため、手間が省ける可能性があります。

スキャナー保存の対象となるのは取引している企業から紙で受け取った契約書や納品書、見積書などの書類です。

電子取引

電子取引とは、電子上で作成した取引情報をそのまま保存する方法です。自社が取引先に電子メールやチャットツールなどを使って送った書類、また取引先や自社に送った書類の両方が電子取引に該当します。

電子取引する場合は、電子帳簿等保存やスキャナー保存と違って、電子データとして保存することが義務付けられているため注意が必要です。

電子取引の対象書類となるのは電子データで送付したり受け取ったりした次のような書類すべてです。

  • 仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿
  • 損益計算書や賃貸対照表などの決算関連書類
  • 契約書や請求書、領収書などの取引関連書類
  • メールやクラウドなど電子取引

まとめ

契約書や領収書などといった書類を紙で保存すると漏えいの危険性があります。さらに、書類作成や管理に手間がかかり、印刷や管理場所の確保にコストがかかる点がデメリットです。また、スキャナー等の保存は手間がかかることから外部サービスを利用する方法があります。
SmartSESAME MultiScan!スキャンデータソリューションは、紙ベースの書類をスキャンするだけで電子化できます。紙を保管する必要がなくなり、オフィスのスペースを減らすことが可能です。さらに、紙ベースの書類をスキャンして保管したり、共有したりすることで印刷コストや郵送コストなどを削減できます。
SmartSESAME MultiScan!では、よく送付する相手先やファイルの保存形式などをお気に入りに登録しておくことで、毎回設定する必要がありません。また、ICカード認証することで、担当者ごとの設定が可能であり業務効率化につながります。
さまざまな複合機に対応可能で、操作画面を統一化しているためスムーズな運用が可能です。

多くの企業や自治体で導入している SmartSESAME MultiScan!に関するお問い合わせはこちらからお願いいたします。


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