Flash/Flexの脆弱性と差し迫るリスク、ご存知ですか?
Flashの脆弱性リスクやサポート終了の背景、企業の実施するべき対応策とは。
Adobe Flashは1996年のリリース以来、Webサイトや業務システムに多用されてきました。アドビシステムズが無償提供するプラグインAdobe Flash PlayerをWebブラウザに組み込むことで、ブラウザー上で動画や音声を再生できます。「Apache Flex」は、Flash Player上で動くRIA(リッチインターネットアプリケーション)を作成するための開発環境とフレームワークで、柔軟なインターフェイスを実現できることから、企業の業務システムも数多くFlexで開発されました。しかし、近年では深刻な脆弱性が数多く報告されるようになり、開発元のアドビシステムズは2020年末でのFlashのサポート終了しました。同時に主要なブラウザーでFlashを実行できなくなるため、Flexで開発された業務システムを利用している企業では、対策が急務となっています。
頻繁に見つかるFlashの脆弱性!HTML5の普及で利用者が急減
Flashの脆弱性を悪用したサイバー攻撃は、2015年ごろから急増しました。2015年1月から5月までのわずか5か月間で、62件も脆弱性が報告されています。この年の7月には、イタリアの情報技術企業であるハッキングチーム社から流出したデータにFlashの深刻な脆弱性の情報が含まれており、世間を騒がせました。その後も数か月ごとに脆弱性が発見され、そのたびにセキュリティ修正版がリリースされています。Flashの脆弱性を利用したサイバー攻撃は、情報流出やウイルス感染、クラッシュ、乗っ取りといった深刻な被害につながる恐れがあり、主要なブラウザーでは徐々にFlashの自動再生が行われなくなっていきました。
一方で、モバイル向けブラウザーでは、早くからFlashに代わる技術としてHTML5などのオープン規格が普及し、アドビシステムズは2011年にモバイル向けFlashの開発を終了しています。昨今では、PC向けブラウザーでも同様に、HTML5が動画や音声を表現する技術として浸透しつつあります。Chromeブラウザーの統計では、2014年に80%あったFlash使用サイトは、2017年では17%にまで低下しています。
主要なブラウザがFlash機能を廃止!Flexシステムは移行が必須に
Flash Playerのサポート終了に伴い、Apple、Google、Microsoft、Mozillaといった主要なブラウザーベンダーも、自社のブラウザーにおいてFlash対応を段階的に廃止する計画を公表しています。最新のブラウザーでFlashが実行できなくなるため、Flexで開発した業務システムを継続して利用することはできません。
Flashに関する各社の対応予定は次のとおりです。
Google(Chrome)
2017年10月 Flashの実行前にユーザーの確認を必須化
2019年7月 Flashをデフォルトで無効化
2020年12月 Flash機能を削除
Mozilla(Firefox)
2017年8月 Flashの実行にはサイトごとにユーザーの設定が必要
2019年 ほとんどのユーザーでFlashをデフォルトで無効化
2020年 Flash機能を削除。ただしFirefox延長サポート版(ESR)ユーザーのみ2020年末まではFlashの利用を可能とする。
Microsoft(IE/Edge)
2018年 EdgeではサイトごとにFlash有効化の状況をブラウザーが記憶
2018年後半 EdgeではFlashを実行するために訪問ごとにユーザーの許可が必要
2019年後半 EdgeとIEの両方で、Flashをデフォルトで無効化
2020年末まで EdgeとIEの両方で、Flashを実行不可
まとめ
Flashは、過去に多くの脆弱性を指摘されており、今後もサイバー攻撃の要因となるリスクがあります。開発元のアドビシステムズは、Flashのサポートを2020年末に完全に終了し、主要なブラウザもFlash対応を段階的に廃止する予定です。Flexで開発されたWeb系業務システムは、早々に、HTML5などのオープンな標準技術に移行することが推奨されます。
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