政府共通プラットフォームにAWSを採用、中央省庁でのクラウド活用の最新動向
中央省庁でのクラウドの活用は本当に進む?
2018年秋に政府が発表したガイドライン「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」で、クラウド・バイ・デフォルト原則の方針が示されました。また、2020年2月14日の総務大臣記者会見では、第2期政府共通プラットフォームへのアマゾンのクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)利用について発表がありました。それによると、2020年秋のAWS利用開始を前提に整備が進んでいるようです。
参考:総務大臣記者会見の概要(2020年2月14日)
政府共通プラットフォームとは
政府共通プラットフォームとは、各省庁が別々に整備・運用している情報システムを統合・集約化し、情報システム全体の運用コストの削減、セキュリティの強化を図るものです。また、クラウドが提供する最新のテクノロジー(AI、ビッグデータ、IoTなど)を利用し、デジタル・ガバメントの推進・実現を目指すものでもあります。
中央省庁での情報システムの動向について
ICT未来図編集部では、中央省庁の情報システムに精通した、システムエンジニアH氏にその最新動向についてインタビューしてみました。
中央省庁でのクラウド活用の動向について教えてください。
令和元年秋ごろから、クラウドを前提にしたシステム刷新について相談が増えてきています。
また、令和2年に入ってからは、複数の省庁でクラウドへの移行を前提に、OSS(オープンソースソフトウェア)への移行検証について具体的な話が進んでいます。
つまり、クラウドバイデフォルトの原則が適用されつつあるということですね。そうなると、今後の流れとして、AWSの利用は政府で浸透していくのでしょうか?
AWSが中心になると思いますが、国産ベンダーも政府向けクラウドサービスを開始すると発表しており、純国産クラウドの導入をまだまだあきらめていないと思われます。
また、OpenStackというクラウド(IaaS:Infrastructure as a Service)を実現するOSSは一部ですでに導入しており、これをさらに拡張していくことも考えられます。
どのクラウドサービスを選択するかが、重要なポイントになるということですね。では、クラウドへ移行するにあたってのポイントは何でしょうか?
現在、中央省庁で稼働している情報システムではベンダー固有の製品を利用しているものが少なくありません。クラウドはOSSの利用を前提としており、ベンダー固有のOS、ミドルウェア製品などでもOSSへ問題なく移行できるかがポイントになります。この切り替えは簡単なものではありませんが、ベンダー固有の製品を利用した情報システムは、実質ベンダーロックインという弊害も抱えており、OSSへの移行がベンダー各社の競争を公平なものにするという効果もあります。
まとめ
クラウドが政府で活用されるようになるには、民間では標準的な技術としてすでに浸透しているOSSの活用がポイントになりそうです。クラウドによるデジタル・ガバメントの推進だけでなく、OSSを活用して、情報システムのさらなるコスト削減も実現してほしいものです。国産クラウドではないAWSを採用すると発表した総務省には、これまで以上に政府の情報システムを発展させようとする意気込みを感じました。