迫る顔認証システムの必要性。-国内外の顔認証最新事情とは-

広く普及しているICカード認証には、常にカードの盗難や紛失、複製といったリスクが伴います。そこで注目されているのが、人の身体的特徴や行動的特徴の情報を活用して行われる本人確認技術「生体認証」です。なかでも、現在最も注目を集めているのが「顔認証」。その理由の一つとして、顔認証システムがさまざまなシーンでのセキュリティ対策に役立っていることが挙げられます。
今回は、世界で普及しつつある顔認証システムのメリットや国内外の事例、オフィスでの活用法について紹介します。

目次

顔認証システムとは?

顔認証とは、人間が意識せずに相手を判別しているやり方を、ICTを活用し再現した認証方式です。顔にある目、鼻、口などの位置や大きさなどをもとに照合を行うため、なりすましが困難であり、認証される側も特別なアクションを必要としないことから世界各国で普及が進んでいます。
そして、顔認証の技術を活用した本人確認やIT機器のロック解除を自動で行うシステムを「顔認証システム」と言います。顔面データとパスポートの照合をスムーズに行う空港のゲートや、ビルの入退場ゲートなど、多くの場所で利用されています。身近な例では、スマートフォンやPCのロック解除が挙げられるでしょう。

ICカード認証に取って代わる生体認証

これまで、本人を確認するための認証方式としてICカード認証が広く普及してきました。しかしICカード認証には、常にカードの盗難や紛失といったリスクが伴います。
そこで近年注目されているのが、ICカード認証と比べて、なりすましがしにくい生体認証です。現在、特に顔認証技術が多くのシーンで急速に導入され始めています。顔認証には、「多数の本人認証を一度に簡単に行える」「偽造が困難である」といったメリットがあり、安心・安全な社会の実現に役立つと期待が高まっているのです。

顔認証システムの必要性やメリットは?

それでは、より具体的に顔認証システムを活用するメリットについて、その必要性とともに見ていきましょう。

スムーズでセキュリティ性の高い認証方法

顔認証システムは、手がふさがっていても認証可能なため、認証機器にカードを直接かざすICカード認証に比べ、スムーズで利便性の高い認証方法と言えます。
また、他の生態認証方式と比べてもセキュリティ性が高いことが特長です。不特定多数の人が行き交う空港や駅の中から特定の人物を特定できるため、テロ行為を事前に防止する犯罪者の調査につながります。また指紋認証のように、身体の一部を複製されることもありません。パスワードやIDを特定したPCへの不正アクセスも防止し、ログ管理は個人単位で利用履歴を把握できます。

衛生的な非接触認証

指紋や静脈を用いた認証方式の場合、認証機器に必要な箇所を接触しての認証が必要になります。大勢の人が認証を行うビルの入退場ゲートなどの場合、接触することでウイルスや菌の感染が懸念されます。しかし顔認証システムであれば、認証に接触を必要としない非接触認証のため、衛生的です。2020年現在、世界的に感染が拡大している新型コロナウイルスへの対策としても、今後の活躍が期待されるでしょう。

顔認証システムの世界・国内事情

それでは、より具体的に顔認証システムを活用するメリットについて、その必要性とともに見ていきましょう。

世界の顔認証最新事情

世界のなかで、顔認証システムが特に急速に普及しているのが中国です。
中国では顔認証システムと監視カメラを組み合わせることで、「いつでもどこでも、完全にインターネットに接続し、完全にコントロールされた」ネットワーク社会の実現を目指すと公安部が明言しています。(引用元:『中国、顔認証技術大国の光と闇 13億人を特定』2018 年2月25日日本経済新聞)。今では都市の街角に顔認識システムを搭載しているスマートグラスをかけた警察官が立ち、犯罪者や不審者に目を光らせています。
また、決済の分野でも顔認証が活用されており、ファストフード店で顔認証決済が導入されたり、北京ではコンビニエンスストアでも顔認証決済がテスト導入されたりしています。中国以外では、アメリカ、オーストラリアなどの空港で出入国審査に顔認証が導入されつつあるようです。これまで、パスポートの写真と実際の顔を見比べ「同じ人物であるかどうか」を判断するのは人間でしたが、それが顔認証システムに置き換えられています。

日本でも普及が進む顔認証システム

世界の空港と同様に、日本の空港でも2019年7月24日の羽田空港を皮切りに、出入国手続きの顔認証ゲートの運用をスタートしました。
また、イベントやコンサートで、チケット転売防止やスムーズな入場を実現するために、顔認証が使われた事例もあります。ある人気アイドルグループのコンサートでは、本人確認に顔認証AIエンジンが利用されました。オフィスビルへの入退館時の認証手段を顔認証に変更する企業も増えています。顔認証を導入すれば、オフィス各フロアへの入室も顔認証により実現できます。手がふさがっている状態でもICカードを取り出す手間の必要がなく、利用者にとって、スムーズになるといえるでしょう。

このように、顔認証は、私たちの生活にも身近なものになりつつあります。2020年には年間訪日外国人数が4,000万人を突破することが予想されており、セキュリティをより強化するためにも、迅速・的確に本人特定が行える顔認証システムがさらに広がっていくことでしょう。

顔認証システムの注意点とリスク

生体認証には、ICカード認証にはないさまざまなメリットがあります。一方で、認証される際に特別なアクションを必要としない顔認証の場合、本人が意識することなく個人情報が相手に引き渡されてしまうリスクがあることも事実です。
個人情報保護の観点から言えば、認証時にワンアクションが必要になる静脈認証や指紋認証といった生体認証は、顔認証よりも優れています。静脈や指紋認証の場合、ユーザーがアクション(手のひらをかざす、指を当てるなど)を起こさない限り、個人情報が相手に引き渡されることはないからです。顔認証によるプライバシー侵害のリスクは、中国でも問題視されており、顔認証の導入による監視社会化が懸念されています。
生体認証にはさまざまな方式があり、それぞれメリットとデメリットを持っています。生体認証の利用においては、個人情報保護、セキュリティ、利便性のバランスを考慮する必要があります。

生体認証を活用したオフィスプリントソリューション

なりすましを防止でき、ICカードが不要で簡単に個人識別できる生体認証は、オフィスでの認証印刷においても大きなメリットを生みます。シーイーシーでは、オフィスの複合機やプリンターに導入できる生体認証ソリューションとして、SmartSESAME SecurePrint!(スマートセサミ セキュアプリント)を用意しています。
このソリューションは、認証しなければ印刷されないため、紙文書の情報漏えいや放置プリント、ミスプリントを防ぎ、印刷環境のセキュリティ強化とコスト削減を叶えます。
またICカードに限らず、顔認証や手のひら静脈認証など多様な認証方法に対応しています。

SmartSESAME SecurePrint!顔認証版

SmartSESAME SecurePrint!顔認証版は、NECの顔認証AIエンジン「NeoFace」と連携した複合機・プリンター向けの印刷ソリューションです。複合機・プリンターに設置された顔認証用のネットワークカメラを使い、PCから印刷指示を出した複合機・プリンターの前で顔認証を行って印刷します。カメラに顔を向けるだけなので、ハンズフリーで認証ができ、なりすましを防止できます。

SmartSESAME SecurePrint!手のひら静脈認証版

SmartSESAME SecurePrint!手のひら静脈認証版は、富士通製の手のひら静脈認証「PalmSecure」と連携したソリューションです。PCからプリント指示を出したあと、出力したい複合機やプリンターに設置された手のひら静脈リーダーに向けて手をかざします。手のひら静脈で本人が確認されたら、出力が完了するというものです。
静脈パターンは人それぞれで同一のパターンがなく経年変化もしないため、精度の高い個人認証が行えます。また非接触で認証が行われるため、衛生的で誰でも抵抗なく利用できます。

まとめ

顔認証システムは、ハンズフリーで衛生的な次世代の認証方式です。情報セキュリティへの意識が重要になるデジタル時代には、PCのログインやオフィスプリント時に大きなメリットとなるでしょう。
ただし、一歩間違えばプライバシーの問題に発展しかねないため、顔認証システムの活用時には運用ルールを定め、企業のセキュリティポリシーに則った導入をご検討ください。

関連情報サイト

認証印刷システムSecurePrint!に生体認証版が登場。
カメラや手のひら静脈リーダーを使った本人認証で、セキュアで利便性の高い印刷環境を提供します。

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