リホストマイグレーション事例|短期間・低コストでレガシーシステムをオープン化
2025年の崖が近づき、レガシーシステムの刷新が求められている今、既存のIT資産を活かすマイグレーションは一つの有効な手段です。レガシーシステムに対応できる技術者が減少している中、システム刷新は急を要するため、比較的短期間・低コストで対応できるマイグレーションが検討されることが増えています。
本コラムでは、長年稼働しているメインフレームの金融システムを持ち、リホスト方式でのマイグレーションに成功した日興システムソリューションズ株式会社の取り組みを紹介します。
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レガシーシステムとなったメインフレームのオープン化
日興システムソリューションズ株式会社は、SMBC日興証券株式会社の金融システム開発・保守・管理業務を行っており、SMBC日興証券グループの金融ビジネスの成長を支えています。
同社には、長年稼働しているメインフレームの金融システムがあり、随時レガシー対応を進めてきました。メインフレームに関わる技術者は減少してきていることから、至急メインフレームを縮小・局所化する必要があります。
その中でも、持株やストックオプションなどの領域に関わる制度商品のシステムは、IBMメインフレームで稼働しており、アプリケーション資産の大部分はCOBOLでした。
他のシステムでは主にPL/Iやアセンブラであり、スクラッチのリビルド方式でオープン化対応する必要がありましたが、COBOLであれば既存のロジックを崩さずにリホスト方式で対応できるのではないかと考え、メインフレームのリホストマイグレーションを検討しました。
リホスト方式で短期間・低コストのマイグレーションを実現
少しでも早くメインフレームのオープン化を進めるために、同社ではリホスト方式を採用しました。リビルド方式とリホスト方式で比較検討した内容は下記の通りです。
リビルド方式の場合
手法:システムの再構築
期間:およそ3年6ヶ月
費用:高い
リホスト方式の場合
手法:新環境に合わせて変換
期間:およそ3年
費用:低い
特に今回のプログラム数が1000本以上あるシステム規模では、リビルド方式とリホスト方式で期間に6ヶ月の差がありました。そこで費用も比較的抑えられることもあり、リホスト方式に決定しました。
また、エミュレーターツールは金融機関への導入実績が豊富であり、オープン系COBOLの中ではメジャーで、技術者確保が比較的容易なRocket® Enterprise Serverを使うこととなりました。
今後も期間や費用面を考慮してリホストマイグレーションを検討
IBMメインフレームのリホストマイグレーションは成功し、想定通りの性能で安定稼働を実現することができました。同社では、2025年度にシステム全体のオープン化完了を目標としています。今後のオープン化についても、今回の成功事例から、期間や費用面でメリットのあるリホストマイグレーションが有力な選択肢となるでしょう。
今回のマイグレーション経験がノウハウとして同社に蓄積されました。特にポイントだったのが、事前調査からPoC、要件定義に時間をかけたこと。ベンダーであるシーイーシーは、問題になりそうな部分は切り分けてカスタマイズを実施するなど、不安点を解消しながらリホストを進めました。
レガシーシステムを多く抱えている企業の場合、期間や費用面を始め、実現可否など多くの検討が必要となるでしょう。マイグレーションは比較的短期間・低コストで実現可能。中でも今回のようなマイグレーションノウハウを持っていて、問題が発生しそうな部分があっても適宜切り分けて対応できるベンダーをパートナーに選ぶことが、成功のカギとなるでしょう。
まとめ:レガシーシステムにマイグレーションを検討してみましょう
レガシーシステムのマイグレーションは業務プロセスやアプリケーションは見直さず、新しい環境に合わせて変換をしますが、変換後システムが動かなくなってしまうことも少なくありません。
「マイグレーションという手法を取ったほうがよいのか」、「自社システムにマイグレーションは向いているのか」など、事前に検討することで、よりスムーズにレガシーシステムへの対応が進むでしょう。
このようなマイグレーションに向けたご相談や現行システムの無料診断などは随時承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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