3人の専門家が語る!自治体のテレワーク成功事例と情報セキュリティ ―地方自治情報化推進フェアオンライン2020 シーイーシープレゼンテーションレポート―

2021年1月27日から2月19日まで、「地方自治情報化推進フェアオンライン2020」が開催されました。今回は『自治体×デジタル変革』をテーマに、行政のデジタル化に役立つ展示やセミナーをオンラインで実施。本記事では、3人の専門家にご登壇いただいたシーイーシーのベンダープレゼンテーションをレポートします。

目次

セッション1)テレワークを検討する自治体が急増。直面する課題や、東京都豊島区の成功事例を紹介

総務省地域情報化アドバイザー 総務省テレワークマネージャー 高橋邦夫氏『アフターコロナ時代における新自治体強靱化ネットワークの活用とポイント ~新三層分離ネットワークでのクラウド活用とセキュアなテレワークとは~』1つ目のセッションでは、総務省地域情報化アドバイザー 総務省テレワークマネージャー 髙橋邦夫氏にお越しいただき、『アフターコロナ時代における新自治体強靱化ネットワークの活用とポイント ~新三層分離ネットワークでのクラウド活用とセキュアなテレワークとは~』をテーマにご講演いただきました。

新型コロナウイルスの影響でテレワークを考える自治体が急増し、自治体から髙橋氏のもとに寄せられたテレワーク導入の相談件数は、2019年度の年間3件に対し、2020年度は4月から6月の3カ月間だけで20件に及んだといいます。

実際に自身が携わった取り組みについても、2015年に東京都豊島区が管理職を対象に、テレワークを導入した事例を紹介。髙橋氏は「いきなり外からつなぐためのPCを準備しても、テレワークはうまくいきません。特に地方自治体では窓口職場があり、家で働けといっても何をやってよいかがわからないというのがあると思います」と、単にテレワーク環境を作るだけではなく、同時に業務改革を行ったことが成功につながったと明かしました。

その改革の1つが、ICカードによる認証印刷の導入です。髙橋氏は「出先に行ったときには出先の拠点からプリントできる。出先の職員が本庁舎に来たときにも本庁舎でプリントできる。ペーパーレスとはいえ、印刷をゼロにすることは難しいので、自席近くのプリンター以外から出力できる仕組みは、テレワークと結構密接な関係にあることがわかります」と話しました。

また、テレワーク導入を検討する自治体の多くで、自治体ネットワークにおけるインターネット分離が課題となっていることや、その解決策などが紹介されました。

セッション2)電子申請・テレワーク実現に向けて。総務省公表「βモデル」に基づくセキュリティ対策とは

藤沢市 総務部IT推進課 情報政策担当 大高利夫氏『「三層の見直し」に向けた自治体情報セキュリティ ~情報システム強靱化とクラウドの活用、新しい生活様式への対応~』2つ目のセッションでは、藤沢市 総務部IT推進課 情報政策担当の大高利夫氏にお越しいただき、『「三層の見直し」に向けた自治体情報セキュリティ ~情報システム強靱化とクラウドの活用、新しい生活様式への対応~』をテーマにご講演いただきました。

急速に進む少子高齢化を踏まえ、デジタル行政の実現に向けた自治体の情報セキュリティ対策を「事件事故から考える」「自治体に求められるネットワーク」「自治体でできること」という3つの視点から紹介されました。

「自治体に求められるネットワーク」の視点では、2020年5月の総務省公表資料「自治体情報セキュリティ対策の見直しについて」から、時代の要請に応える新たなネットワークモデルとして提示された「βモデル」が取り上げられました

従来、自治体ネットワークは「個人番号利用事務系」「LGWAN接続系」「インターネット接続系」という三層を分離することで安全性を確保してきましたが、電子申請やテレワークにインターネット活用が期待される中で、安全と利便性を両立する新たなネットワークが求められています

大高氏は「βモデルを検討するにあたっては、現実的にどういうリスクがあって何をしなければいけないのか、どういうリスクが残ってしまうのかというリスクアセスメントが必須になると思います」として、リスク評価に基づいてセキュリティ強化に取り組む必要性や、リスク評価を実施するポイントを紹介しました。

また、自治体の情報セキュリティの検討にあたっては「自治体職員だけでなく、構築事業者、セキュリティベンダー、コンサルなどと一緒に考えていきましょう」と呼びかけました。

セッション3)平時でも非常時でも同じ働き方ができる体制を整備。広島県のワークスタイル変革

広島県 総務局 総括官(情報戦略) DX推進本部 副本部長の桑原義幸氏『DX時代の働き方、自治体のテレワーク実現に向けて <ワークスタイル変革、テレワークと事業継続の両立>』3つ目のセッションでは、広島県 総務局 総括官(情報戦略) DX推進本部 副本部長の桑原義幸氏にお越しいただき、『DX時代の働き方、自治体のテレワーク実現に向けて <ワークスタイル変革、テレワークと事業継続の両立>』をテーマに、広島県の取り組みをご紹介いただきました。

2010年からICTを駆使したワークスタイル変革を推進してきた広島県。2018年7月の西日本豪雨災害がクラウドストレージやデスクトップ仮想化導入の契機となり、「平時でも非常時でも同じ働き方ができること」の重要性を痛感したといいます。その後、BCPと働き方改革を両立できる体制を整備し「今回のコロナ対応についても、なんら慌てることなく、緊急事態宣言が発令されたその日から全職員の在宅勤務が可能でした」と桑原氏は話します。

広島県は現在、セキュリティ強化につながる2つの施策に取り組んでいます。その1つが、顔認証による、セキュアな印刷システムの導入です。桑原氏は「カードなどを利用する認証と比較して、なりすましの防止や、カード忘れで印刷できないという職員の手間も削減できます」と期待を寄せました。

もう1つが、庁内のペーパーレス・ペーパーストックレス化に向けた取り組みです。複合機で読み取った文書を、OCR機能を使って文字データ化し、情報共有用のクラウドストレージサービス「Box」に自動で保管する仕組みを準備しています。

その他にも、新型コロナウイルス対策の広島県独自ソリューションや、最新技術を活用して産学官の競争活動を推進するオープンな実験場「ひろしまサンドボックス」など、意欲的な取り組みが紹介されました。

3つのセッションを通じて、自治体のテレワーク導入の具体例や、情報セキュリティ強化事例、新たな自治体ネットワーク構築のポイントが紹介され、自治体のデジタル化推進の一助となったのではないでしょうか。

シーイーシーは、認証印刷やペーパーレス、PCセキュリティを実現するSmartSESAMEシリーズをはじめ、豊富なソリューションで自治体のICT活用を支援しています。どうぞお気軽にご相談ください。

関連サイト情報

自治体特設ページ|自治体 × デジタル変革 ~一歩ずつ、少しずつ、未来を切り拓く~
J-LISフェア2020 Web展示レポート|いま自治体に求められるICTソリューションを紹介

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