BizDevOpsとは?DevOpsとの違いや導入効果について
IT技術の進歩やビジネス環境の変化する速度が上がり、顧客ニーズの変化も加速しています。これまでのように「ビジネス部門から開発部門や運用部門に、顧客要求あるいはビジネス目的を伝える」流れでは、高い生産性を実現できないと考える担当者も増えているようです。そこで注目されているのが「BizDevOps」です。本記事では、BizDevOpsの概念やDevOpsとの違いやその効果などについて解説します。
BizDevOpsとは
BizDevOps(ビズデブオプス)とは、企業における開発部門(Dev:Development)と運用部門(Ops:Operations)に加え、ビジネス部門(Biz:Business)の3つの部門が連携してビジネスの生産性を高める概念のことです。また、「企業のビジネス目標をより速く達成するために、3部門が連携する体制や、それを実現する」ための概念だともいえるでしょう。
BizDevOpsにおける3部門のそれぞれの役割は、一般的に以下のように分けられます。
- ビジネス部門(Biz):企業の方向性や目標を定める。顧客からの要求を受け仕様作成などを行う(企画部門や営業担当など)
- 開発部門(Dev):仕様の通りにシステム開発を行う(システム開発担当)
- 運用部門(Ops):開発したシステムを運用する(システムを安定稼働させる運用担当)
たとえば、これまではビジネス部門が方向性や目標、企画・仕様を定め、開発部門や運用部門に伝達するという流れでした。システム部門や運用部門は、ビジネス部門の要求に対応することが目的になっていたのです。
しかし、BizDevOpsという概念を活用すると3部門が相互に連携できるようになります。結果、3部門がともにビジネス目的を共有でき、開発部門も運用部門も「ビジネス目標」の達成をゴールとして動けるようになるのです。
BizDevOpsとDevOpsの違い
BizDevOpsは、DevOpsから派生した概念です。
従来は、開発部門と運用部門が連携するDevOpsが浸透していました。ここに、ビジネス部門との連携も加えたものが「BizDevOps」です。
では、それぞれの違いを見ていきましょう。
DevOpsは、開発部門(Dev:Development)と運用部門(Ops:Operations)が密に連携する概念のことです。ビジネス部門から降りてくる指示や依頼、仕様に沿ったシステムを、素早くかつ品質を担保することが目的でした。
DevOpsを導入することにより、システム開発や運用などの業務を効率化できたのです。また、両者の連携により情報の共有や伝達が効率化され、素早い開発やリリースが可能になりました。
一方BizDevOpsは、DevOpsにビジネス部門も加えることで、顧客ニーズへの対応も考慮し、満足度を高めることが目的です。
たとえば、開発部門や運用部門も、方向性や目標、あるいは顧客からの要求をビジネス部門と共有します。つまり、ビジネス部門、開発部門、運用部門それぞれが、同じ目標を達成することを目的にするのです。
両者の違いをまとめると以下のようになります。
DevOpsの場合のゴール・目標 | BizDevOpsの場合のゴール・目標 | |
ビジネス部門(Biz) | ・開発目的や仕様、期間を指示 ・利益向上などを軸にしたビジネス目標を達成 | 利益向上のための方法を、開発部門や運用部門からの視点も含めて検討して目的を達成する |
開発部門(Dev) | ・ビジネス部門からの指示に従ってシステムを開発 ・運用部門との連携で、期間内に素早く開発を達成 | ビジネス部門が目標とする利益向上を意識して、効果的な開発方法やシステムを検討、達成する |
運用部門(Ops) | 開発部門と連携して、一定のサービスレベルを満たしたシステム運用 | ビジネス部門が目標とする利益向上を意識して、運用部門として何が必要なのかを考え、ビジネス部門への直接的な改善提案を行い、達成する |
BizDevOpsでは、ビジネス部門だけでなく、開発部門と運用部門もビジネスにおけるゴールを共有できるため、スピード感のある目的達成が可能な組織マネジメントを内製化できます。
内製化については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
BizDevOps導入で期待できる効果
BizDevOpsを導入するとどのような効果があるのでしょうか。ここでは、主な効果についてみていきましょう。
部門間でビジネス的なゴールを共有できる
これまでは、ビジネス部門、開発部門、運用部門それぞれのゴールが異なっていました。
たとえば、ビジネス部門では「ビジネスによる目標収益」をゴールに、開発部門では「ビジネス部門から降りてきた仕様どおりのシステム開発を納期にあわせて完成させること」をゴールに、また、運用部門では「サービスレベルを保ち、システムを稼働させること」をゴールにしていました。
しかし、BizDevOpsでは、この3部門がお互いのゴールを共有するため、お互いの視点を持つことができます。開発部門や運用部門も、ビジネスの目的を意識してビジネス部門と連携をとれるようになるのです。
データの共有で効率的な改善が可能になる
ビジネス部門と、IT部門(開発部門や運用部門)では、それぞれに異なるデータを持っていることがほとんどです。
たとえば、ビジネス部門では、顧客からの問い合わせやクレームといった「生の声」をデータとして持っています。また、IT部門では「システムに求められる要件を満たせているか否か」を測るデータを有しています。
この状況で課題解決のための仮説を立てようとすると、自分の部署が持つそれぞれのデータだけで考えてしまうため、視野が狭くなるのです。ビジネス部門は、顧客からの問い合わせ内容というデータから課題解決のための仮説を立て、その仮説をIT部門に伝えると、IT部門はその仮説が正しいかどうかを検証するといった受け身の姿勢になりがちです。
しかし、IT部門にもビジネス部門のデータを共有されていれば、ビジネスとシステムの両方の視点から原因の仮説を立てて検証できます。データが共有されることで視野が広がり、分析できるデータも増すでしょう。
これにより、顧客の生の声などに対して、リアルタイムな対応などが可能になり、効率的なシステムの改善もできるようになります。
生産性が向上しビジネススピードが上がる
3部門の連携によるビジネスゴールやデータの共有によって、生産性の向上につながります。それは、ビジネススピードが上がるということです。ビジネススピードという言葉はさまざまな意味で使われますが、たとえばシステム開発であれば、開発速度を上がることが、ビジネススピードの向上につながります。
ビジネス部門である営業部と、開発部門であるシステム開発部が同じゴールを目指してデータを共有することで、顧客の要求がリアルタイムに分かるため、迅速な対応が可能になります。その結果開発スピードも上がります。
つまり、BizDevOpsを導入して3部門が連携することは、生産性とビジネススピードの向上につながるといえるのです。
BizDevOpsを導入する際は、支援サービスなどを利用するのも有効な手段です。BizDevOps導入の伴走支援サービスについては、こちらのホワイトペーパーをご覧ください。
このコラムに関連した資料を今すぐ無料ダウンロード!
BizDevOpsの成功事例と失敗事例を紹介!「内製化戦略セミナー」
DX推進が求められる昨今、多くの企業がDXの実現に向けて「内製化」を意識しています。では、DXを推進していく上で「内製化」はどのような位置付けになるのでしょうか。また、何から始めたら良いのでしょうか。
本セミナーでは、「内製化の実現に向けて、今すべきアプローチ」とは何かについて、弊社がお客様を支援した際に得たノウハウや事例を交えながらご紹介いたします。
BizDevOpsの3部門連携で生産性を高めよう
BizDevOpsは、開発部門と運用部門、ビジネス部門を連携させて生産性を高めるための概念です。各部門がビジネスゴールや各部門のデータを共有することで、システム開発の効率化や生産性の向上が見込めます。BizDevOpsが自社にどのような効果があるのかを把握して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
自社だけではBizDevOpsの導入が難しい場合には、伴走支援サービスを展開する事業者に相談することも検討してみましょう。