CentOSとは?今後の開発方針による影響をわかりやすく解説
Linux系サーバーのCentOSは、安定性が非常に高いながらも、無償で使えるという利点から多くの企業で採用されています。しかし、サポートが2024年6月に終了することが発表され、混乱している方も多いかもしれません。
本コラムでは、CentOSの概要や特徴をあらためてご紹介するとともに、今後の開発方針が変更になったことで、どのような影響が出るのかを解説します。CentOSを検討、すでに導入している方はぜひ参考にしてください。
CentOSとは?
はじめに、CentOSの概要を解説します。CentOSとは「CentOS Stream」と「CentOS Linux」の2つのモデルが存在するオープンソースプロジェクトです。CentOSの最大の特徴は、RHEL(Red Hat Enterprise Linux)との互換性があることです。
RHELは公的機関でも導入されているほどセキュリティ性が高く、対応しているプラットフォームが幅広いというメリットがあります。しかし、保守運用のサポートが高額であるというデメリットがありました。
一方で、CentOSはRHELとの高い互換性を目指しており、さらに無償で使うことが可能です。これらの信頼性とセキュリティ性の高さを兼ね備えながら、無償で使えるメリットがあるというのがCentOSの概要と言えるでしょう。
ここでは、CentOSの特徴を見ていきましょう。代表的な特徴は下記のとおりです。
- RHELと高い互換性がある
- 業界でも広く使われている
- サポートが有償OSレベル
それぞれ順番にご説明します。
RHELと高い互換性がある
上述したとおり、CentOSはRHEL(Red Hat Enterprise Linux)との高い互換性があります。というのも、CentOSはRHELとの完全互換を目指しており、安定性や機能面もほぼ同様である点が、
CentOS最大の特徴です。
業界でも広く使われているので課題も解決しやすい
CentOSは、業界でも広く使われています。その上、検索エンジンで調べると、たいていの問題が解決できるため、保守担当者のリソースを削減できているのも特徴です。実際、CentOSは「デファクトスタンダード(事実上の標準)」といわれており、業界問わずさまざまな企業が導入しています。
企業がアプリケーションを利用したり、サービスを提供する上で、OSにおける問題をいかに素早く解決できるかは非常に重要な問題です。その点、CentOSはデファクトスタンダードであり、困ったときはすぐに解決できる優位性があることは大きなメリットでしょう。
サポートが有償OSレベル
最後に、CentOSはサポートが有償レベルであることも特徴です。上述したRHELに実施されるアップデートはCentOSにも適用されます。つまり、無償でありながら自動で有償サポートを受けられるのと同様です。
また、CentOSはサポート期間も長いです。たとえばCentOS 7の場合、リリースは2014年の6月ですが、サポートは10年後の2024年6月まで行われます。無償OSでありながら、これだけのサポート期間を提供するOSは他に見られません。
CentOS 8以降は開発方針が変更になったことに注意
ここまで、CentOSの概要や特徴を解説してきましたが、これらはCentOS 7までの話となります。注意点として、CentOS 8以降は、開発方針が大きく変更になりました。開発方針の変更に関しては「CentOS Project shifts focus to CentOS Stream」にて、2020年12月8日に公式発表されています。
開発方針の変化を具体的にご紹介すると、CentOS 7まではRHELを基にアップグレードや改修が行われていましたが、CentOS 8以降は、CentOSのアップストリーム版として開発が進められます。アップストリームとは「上流へ」という意味であり、反対に「下流へ」開発が進められる場合は「ダウンストリーム版」といわれます。
つまり何を意味するかというと、CentOS 8以降は、CentOSはRHELの「開発環境」になるということです。開発環境になることで、今までは「RHELで実施→CentOSでも実施」という流れで進められていたアップグレードや改修が、まったく逆の流れになります。
CentOSのサポートが2024年6月に終了する
CentOS 7の次にリリースされたCentOS 8は、2021年12月31日をもってサポートが終了しています。その上で、CentOS 7に関しても2024年6月にサポートが終了することが発表されており、現行システムの移行を検討する必要も出てくるでしょう。
サポートが終了するCentOSを使い続けることも大きなリスクです。なぜなら、サポートがないため自社の担当者で保守運用を行う必要があり、セキュリティリスクやランニングコストが高くなるためです。
RHELに乗り換える場合は、当然ながらRHELに対して保守運用費用を支払う必要があります。もちろん、アップグレードや万全のセキュリティ対策済みであるメリットがあるものの、コスト以外も含め、総合的に移行を検討する必要があるでしょう。
そのため、現時点でCentOSを使っている企業は移行を前提に、どのようなサービスを利用するかを検討していきましょう。
CentOSサポート終了後の対応についてはこちらで解説しています。
まとめ
本コラムでは、CentOSの概要や特徴を解説してきました。CentOSは無償で手厚いサポートを受けられ、検索すればほぼすべての課題を解決できる特徴があります。しかし、2024年6月をもってサポートが終了するため、導入している企業は移行先のOSを早急に検討することが重要です。
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