内製化とは?そのメリットや業務を内製化する際のポイントを解説
従来、社内においてリソースやノウハウがない業務は外製化(アウトソーシングなど)をする企業がほとんどでした。しかし近年、これら業務の内製化が注目されています。たとえば、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを受けてIT分野の内製化を検討している担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、内製化が注目されている背景やそのメリットやデメリットを交えながら、内製化する際のポイントなどについて解説します。
内製化とは
内製化とは、これまで外製化していた業務を、再び社内に戻すことです。英語では「insourcing(インソーシング)」と表現します。内製化の対義語は外製化で、業務を外部に委託する「outsourcing(アウトソーシング)」などがそれにあたります。
たとえば、自社にシステム開発ができる部門や人材、ノウハウなどがないため、IT関連の業務を外製化していたとします。今後は、自社内にIT部門を作り人材を育て、外製化していたシステム開発業務を自社で行うことを「内製化する」といいます。
なぜ、内製化が注目されているのでしょうか。それは、近年のDX推進などが理由の一つでしょう。
経済産業省によると、日本の企業のDX推進が進まなかった場合は、企業の競争力が低下して2025年以降に約12兆円の経済的損失が出るとしています。そのため、企業にはDX推進が促されているのです。
しかし、DX推進にはさまざまな課題があります。その一つがブラックボックス化された既存システムです。
古くから利用しているシステムをレガシーシステムとも呼びます。長く利用している既存システムであるレガシーシステムの多くがブラックボックス化されてしまっており、カスタマイズやメンテナンスなどを外製化に依存しているのです。
DX化は、システムのブラックボックス化を解消しなければなりません。そのためには、システムの内容を社内の人材が把握し、コントロールできるようにならなければならないのです。そこで、これまで外製化していたシステムを内製化することが重要視されるようになり、注目されているのです。
成功事例と失敗事例を紹介「内製化戦略セミナー」
DX推進が求められる昨今、多くの企業がDXの実現に向けて「内製化」を意識しています。では、DXを推進していく上で「内製化」はどのような位置付けになるのでしょうか。また、何から始めたら良いのでしょうか。
本セミナーでは、「内製化の実現に向けて、今すべきアプローチ」とは何かについて、弊社がお客様を支援した際に得たノウハウや事例を交えながらご紹介いたします。
内製化するメリット
内製化は、レガシーシステムのブラックボックス化を解消できます。しかし、それ以外にも業務の内製化にはメリットがあるのです。
外製化のコストを削減できる
これまで、外製化していた業務にはコストがかかっていました。
たとえば、ITのシステム開発など、専門性が高い業務ほどコストが高い傾向にあります。また、品質の高いシステムや、その後のメンテナンスや運用なども外製化すれば、ランニングコストもかかります。
内製化は、これらのコストを削減できるというメリットがあります。
情報漏えいのリスクを軽減できる
内製化することで、情報漏えいのリスク軽減につながります。なぜなら、情報を社外に出す必要がなくなるからです。外製化する場合でも、もちろん秘密保持契約などを交わしますが、社外に情報を出す時点でリスクは高まってしまいます。
内製化ならば情報を社外に出す必要がないため、情報漏えいのリスクを軽減できるというメリットがあります。
プロセスが簡略化されて効率がアップする
内製化することで、業務やシステムを変更・更新する際の伝達スピードが上がります。社内で効率的に情報を共有できるため、業務依頼もスムーズになるでしょう。
外製化している場合、まずは自社内で要件などをまとめ、外製先に伝え、スケジュール調整などを行った上で、業務着手となるのが一般的です。内製化することで、このようなプロセスが簡略化されシンプルになり、業務の効率アップが期待できます。もちろん、緊急対応をしなければならない状況でも、外製化している時よりも迅速な対応が可能になるでしょう。
しかし、これまで外製化していた業務を急に内製化するためには、自社内の体制や知識、ノウハウの構築が必要です。そこで、近年注目されているのがBizDevOpsです。BizDevOpsという概念を導入することで、内製化を促進できます。BizDevOpsの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ノウハウ・知識・情報を社内に蓄積できる
内製化することは、業務における課題などもすべて自社内で解決しなければならないということです。そのため、工数やコストがかかってしまうかもしれません。しかし、その分ノウハウや知識、情報が自社内に蓄積されるということでもあります。
業務を外製化していると、課題解決もすべて外製先に任せてしまいがちです。これでは、社内に課題解決の力はつきません。さらに、どうやって解決したのかが理解できなければ、業務やシステムの「その部分」がブラックボックス化してしまうのです。
業務の内製化は、企業自身が力を蓄え、成長できるというメリットもあるのです。
内製化のデメリット
内製化はメリットだけではありません。内製化をすることによるデメリットも把握しておくことが大切です。
人材の育成が必須
内製化するためには、業務やシステムの深い理解が必要になります。そのため、人材教育の工数や、人員のリソース確保といったコストがかかります。
たとえば、社内で利用するシステムを構築する場合は、設計からプログラミング、システムテストや導入などができる人材が必要になるでしょう。専門的な業務ほど、人材の教育には時間もかかります。人材教育が必要である点は内製化のデメリットだといえます。
必要なインフラ整備にコストがかかる
外製化していた業務を内製化する際には、自社に必要なインフラなどを用意する必要があります。業務内容によっては大きなコストがかかる場合もあるでしょう。
たとえば、ITのシステム開発業務を内製化するならば、パソコンやネットワーク設備、開発サーバーなどが必要です。クラウドを利用した開発環境を用意する場合でも、最低限のハードウェアやソフトウェアが必要になります。
外製化ならばこれらを自社で揃える必要はありませんが、内製化するならばインフラコストを意識しておかなければなりません。
内製化をする際のポイント
ここからは、内製化する際に意識すべきポイントをみていきましょう。
内製化と外製化のコストバランスをみる
これまで外製化していた業務に関して、そのすべてを内製化すればよいというわけではありません。業務の中には、内製化することで大幅にコストが増えてしまう業務もあります。
業務内容やそこにかかる人件費、設備などのコストは、外製化した場合と内製化した場合ではどちらの方がよいかを試算しなければなりません。
内製化によって損失が大きくなってしまっては意味がないからです。そのバランスを比較検討して判断することが大切です。
内製化する業務を見極める
業務別に、内製化するか否かを見極めることも大切です。
たとえば、継続性のある業務ならば内製化をした方がよいでしょう。なぜなら、社内にノウハウや知識を蓄積できる上、ランニングコストも削減できるからです。
一方、短期的な業務ならば外製化して、人件費や設備投資といったコストを削減した方がよいかもしれません。
このように、業務によって内製化するものを正しく選択することが大切です。
内製化を支援してくれるパートナーへの相談も視野に入れる
これまで外製化していた業務を、すぐに内製化することは実際に難しいものです。先に述べたように、内製化するための人材育成や設備の用意、それに伴う費用がかかるためです。
効率的に内製化を進めるためには、さまざまな要素を検討しなければなりません。中には、自社だけで内製化を進めることが難しいという場合もあるでしょう。
そのような時は、内製化を支援してくれるパートナー企業へ相談するのも一つの手段です。社内の現状把握から、内製化における課題抽出、それらの解決に伴走しながら支援してくれるサービスの導入も視野に入れてみましょう。
BizDevOps導入の伴走支援サービスについては、こちらのホワイトペーパーをご覧ください。