データセンターとは?種類や選定ポイント、クラウドとの違いまで徹底解説
データセンターとは、サーバーやメインフレームなどのコンピューターを設置するために、通信設備や電力設備などを完備した施設のことです。
すでに自社の情報システムをデータセンターに設置している企業や、クラウドサービスに切り替えを検討している企業も増えています。
そんな中、テレワークの普及により、オフィスのあり方が大きく変化し、スモールオフィス化・移転を検討する企業が急増しました。その際に課題となるオンプレミスサーバーを自社内に設置している際の運用管理の解決策として、データセンターに預けたいといった相談も増えています。
今回は、データセンターの種類や選定ポイント、クラウドとの違いまで徹底解説します。
「先日、同級生とオンライン飲みで近況を報告していた時、『石川君が働いているデータセンターってなに?どんなことしているの?』と聞かれちゃいました。僕も説明しようと頑張ったんですけど、うまく伝えられなくて…」
「データセンターにはたくさんのサービスやメリットがあるからね。次回はみんなに説明できるよう、一緒に整理してみよう!」
データセンターとは?オンプレミスの課題を解決
自社内に設置したオンプレミスサーバーの運用には、自社の業務や他のシステムとの連携に合わせてカスタマイズしやすいといったメリットがありますが、その反面多くの課題も抱えています。それを解決するために、データセンターへの移行(移設)が効果的という訳です。
まずはオンプレミスで運用することの課題を把握しましょう。
オンプレミスの課題
オンプレミス(On-Premises)とは、自社でサーバー(情報システム)やネットワークを保有し、構築から運用までを自社で実施する形態です。
自社で運用管理するため、安全性が高く柔軟にカスタマイズでき、既存のシステムや業務体系に合わせやすいメリットがあります。
しかし、オンプレミスには課題もあります。特にサーバー、ネットワーク、端末のすべてが自社内にある場合、さらに課題が増えます。
・導入コスト初期費用が高い
オンプレミスのシステムには、サーバーやネットワークなどのハードウェアが必要で、多額の費用がかかります。サーバールームには、ハードウェアだけでなく、空調やセキュリティなどの設備も必要です。
システムも自社に合わせてカスタマイズするため、既存のシステムをそのまま利用するより費用が高くなります。すべてを自社に合わせて用意するので、初期費用だけでなく、保守費用や設備にかかる光熱費なども検討が必要です。
・導入や運用に大きな労力がかかる
オンプレミスのシステムでは、通常のトラブル対応やメンテナンス、バックアップの用意だけでなく、システムのアップデートやハードウェアの更新、災害や障害発生時の対策も社内でおこなう必要があります。
そのため、保守運用のスタッフには高い専門知識が必要で、大きな責任が生じると同時に、膨大な工数がかかります。
・障害や災害への対策が必要
ネットワーク障害や災害対策も自社でおこなわなければなりません。
災害発生時には、ハードウェアの再構築とバックアップデータからの復旧の両方が必要ですが、バックアップが自社内にある場合、データがすべて消失する可能性もあります。そのため、あらためてハードウェアを用意してネットワークを再構築したり、自社のサーバーとは別な場所にバックアップを用意したりといった、大掛かりな対策が必要です。
また、ネットワーク障害が発生すると、システム全体がダウンし、業務に関する処理だけでなく、営業活動や自社のWebサイト、メールも止まってしまい被害が大きくなる危険性があります。
データセンターに情報システムを預けることで解決策が見つかります。運用をアウトソースできる、マネージドサービスを提供しているデータセンターもあります。
「自社でサーバーを運用するには、こんなにたくさんの課題があるんですね。」
「そうだね。最近はテレワークが当たり前になってきていて、オフィスを縮小する動きも活発になっているんだ。自社内にオンプレミスサーバーがあると、かんたんに引っ越しもできないからね。『オンプレミスサーバーをデータセンターに預けたい』といった相談が増えているよ。
他にも、システム管理者だけがテレワークに移れないという相談も増えているね。」
データセンターのメリット「安全で高品質な環境」
万全の災害対策と安定稼働
データセンターの設備は、自然災害の少ない場所で、耐震(または免震)の建物内に用意されています。コンピューターを安定稼働させるための空調設備も設置済みです。さらに、災害時などの停電に備え、UPS(無停電電源)や予備電源、非常用発電装置を準備し、火災の際に使う消火剤も、コンピューターに影響のないものとなっています。もちろん、万が一のためのバックアップも用意されています。
24時間365日、正常に稼働することがデータセンターにとって重要です。そのため、コンピューターをはじめとするリソースを安全に運用するために、最適な設備となっています。
高品質な通信回線
高速で大容量の通信回線が大量に用意されており、高品質な通信回線を安定的に利用できます。自社で高速通信回線を用意し、保守運用する必要はありません。
高いセキュリティ
リソースやユーザーのデータを保護するため、データセンターには生体認証や接触型カード、二段階以上の認証方式など、厳重なセキュリティ対策が用意されています。
さらに24時間対応の有人監視、監視カメラ、入出時のチェックなど、厳しい警備体制がとられています。このような監視体制があるので、障害の発生も素早く検知でき、復旧までの時間を短縮できます。
サーバーに適した環境
データセンターは、大量のサーバーやネットワーク機器が発する熱を逃がすため、空調設備で温度や湿度を管理し、ハードウェアが安定稼働できるようになっています。要望によってはハードウェアに対する保守も、データセンター側が行います。
システムの運用担当者不足や担当社員のテレワーク実現には、代わりに担当する専門技術者による24時間365日の有人運用が欠かせないポイントです。
「僕もシフト勤務で、24時間365日の対応をしていますが、真夜中でもしっかり監視しているので、安心してデータセンターを活用してほしいです!」
「石川君もすっかり交代勤務が慣れたようだね。インシデントがないのが一番よいけど、インシデントが発生しないシステムなんて存在しないから、いち早く対処できる体制を整えておくことが重要だよ。」
データセンターサービスの種類
ハウジングサービス
ハウジングサービスは、コロケーションとも言い、企業のサーバーなどを共同の場所に預けるサービスです。サービス事業者が場所を提供し、ユーザーがサーバーやネットワーク機器を準備し、データセンターに預ける形になります。
ハードウェアの運用や保守は基本的にユーザー側で行います。都市型のハウジングサービスであれば、緊急時にすぐに駆けつけることができるので安心です。なお、サーバーの運用管理やマネージドサービスを提供するデータセンターもあります。
ホスティングサービス
レンタルサーバー、シェアードホスティングとも呼ばれます。データセンター側が、サーバーやネットワーク機器を用意して、運用管理します。ユーザーはサーバーを所有せずに、サービスとして利用します。
保守サービスが含まれているので、遠隔地のデータセンターでも問題ありません。サーバーを占有する「専用ホスティングサービス」と、サーバーを複数のユーザーで共有する「共有ホスティングサービス」があります。
ハウジング(コロケーション) | ホスティング | |
---|---|---|
場所・電気・回線などの用意 | サービス提供側が用意 | サービス提供側が用意 |
ハードウェアの用意 | ユーザー | サービス提供側が用意 |
ハードウェアの管理 | ユーザー(※1) | サービス提供側が管理 |
「ハウジング」とは、自社が所有するサーバー機器をデータセンターのスペースを借りて預かってもらうこと、「ホスティング」とは、自社でサーバー機器を所有しないでデータセンターサービス事業者のサーバーを利用することです。
「先ほどの『オンプレミスサーバーをデータセンターに預けたい』といったスモールオフィス化のご相談は『ハウジングサービス』のご提案になるわけですね。」
「そうだね。ハウジングサービスはラックごとお貸しするから、使用するサーバーのスペックや容量などを自由に決定できるし、自社内で運用しているオンプレミスサーバーを、そのままの構成で移設して運用するような使い方ができるのがメリットだよ。」
データセンターの選び方
データセンターを選ぶときには、まず自社がどのようにデータセンターを利用したいのかを考える必要があります。
社内要件を明確にしたうえで、次のようなポイントでデータセンターを選びましょう。
稼働の安定性
データセンターは、自社にサーバーを置くよりも安心ですが、それでも、より災害に強いデータセンターを選ぶことが重要です。建物の立地、大まかな設置場所や耐震性能、免震構造や制震構造の有無などを確認しておきましょう。
空調設備や供給電源、停電時の対応などにも気をつける必要があります。データセンターには、安定稼働という大きなメリットがありますが、サービスの内容は事業者によって異なります。より自社に合ったサービスを見極めることが重要です。
セキュリティ
部外者によるデータの盗難や破損、漏えいを防ぐため、セキュリティについてもチェックが必要です。物理的な入退室管理とネットワークセキュリティの両面から、高いセキュリティを実現しているデータセンターを選びましょう。
サポート
導入時のサポートや運用中の質問、トラブル発生時の問い合わせなど、サポートサービスを利用する機会は案外多いものです。問い合わせの対応レベル、サポート体制や内容、料金を確認しておく必要があります。
料金
データセンターの利用料金は、ラック利用料(コンピューターの利用料)、電源、回線、サポートの料金など、さまざまな料金がかかります。利用するデータ容量が大きいと料金も高くなるので、自社で最適な容量を計算しておくことも重要です。
データセンターの選定ポイントとして、情報セキュリティに関するマネジメントシステム規格(ISO/IEC 27001やISO/IEC 20000)の認証も、指標の一つとして確認しましょう。
「データセンターの利用料金を左右する最適な容量の計算は『kVA(キロボルトアンペア、ケーブイエー)』のことですね!」
「そのとおり!ロス分も含めたすべての消費電力のことだね。データセンターを利用する際は、利用ラックの提供可能電力(kVA)を確認し、容量内で利用することが重要だよ。計算方法の復習はここを見てみよう。」
データセンターとクラウドの違い
近年、SaaSやPaaS、IaaSといったクラウドサービスの台頭により、企業のクラウド移行が進んでいます。
クラウドサービスでは、サーバーやメインフレームなどのハードウェアはサービス提供側が用意するため、管理負担も任せることが可能です。ユーザーは、ITリソースを必要な時に、必要な分だけ利用できます。
一見、クラウドサービスの方がデータセンターよりもコストをかけずにITリソースを管理運用できそうですが、メリットばかりではありません。クラウドサービスはサービス提供側があらかじめ用意したサーバーなどのIT機器を利用するため、カスタマイズ性が低くなります。
管理負担をサービス提供者に一任しているということは、万が一のトラブル時の対応も任せていることになります。多くの場合、データセンターは24時間稼働しているため、クラウドサービスよりも迅速にトラブル対応できる可能性があります。
また、企業の機密情報もサービス提供側に預けることになるため、情報漏えいの危険性が伴います。データセンターであれば、企業のセキュリティポリシーに則った柔軟な運用管理が可能となります。
データセンターとクラウドの違い (代表例) | データセンター | クラウドサービス |
---|---|---|
サービス | ハードウェアを設置する場所・環境を提供(※2) | サーバー・ネットワークなどのITリソースを提供 |
ハードウェアの用意 | ユーザー、またはサービス提供側が用意 | サービス提供側が用意 |
ハードウェアの管理 | ユーザー、またはサービス提供側が管理 | サービス提供側が管理 |
既にクラウドサービスを利用していて今後も継続したいケースや、将来的に利用を考えている場合、クラウドサービスとの接続性も重要なポイントになります。
「クラウドサービスではハードウェアの管理がコントロールできないとなると、重要な情報ほどクラウド環境に預けるのが不安になっちゃいますね。」
「データの重要度に合わせて、データセンターとクラウドサービスを併用する『ハイブリッド構成』を選択する企業も増えているよ。
クラウドとの接続もサポートしているデータセンターもあるから、まずは相談してみるといいね。」
まとめ
「企業においてサーバーの安定運用は、時に安定した経営活動にもつながるんだよ。だからこそ自社内に設置したオンプレミスサーバーの運用は、運用管理に多くのリソースとコストがかかるから、データセンターを活用することで、システムを安定的に稼働させ、業務効率化の実現にもつながるんだ。」
「シーイーシーでは、ハウジングサービスやホスティングサービスに加え、マネージドサービスやクラウド接続など、データセンターを利用したさまざまなサービスを提供しているから、お客様の目的や課題に合わせた活用方法の提案ができているんだよ。データセンターでのシステム構築や、既存システムからの移行、運用管理などのサービスも充実しているし、保険業界、官公庁・公共団体などのシステム最適化、データセンター移行の実績もたくさんあるから、データセンターをより活用したいと考えている多くの企業に選ばれているんだ。」
「データセンターのサービスについて理解が深まりました。これで同級生にも説明できそうです!データセンターのバーチャルツアーもあるから、それも見てもらおうかな!」
シーイーシーデータセンターはバーチャルツアー(動画)で見学することができます。
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ぜひお気軽にお申し込みください。
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