IoT製品開発のPoCをスピードアップ- IoT化を支えるAWSサービスの活用事例-

目次

最短3週間でPoC環境を構築。IoT開発現場を支える支援サービスとは

IoT化にむけたプロトタイプ環境の構築が可能な製品IoT化支援サービス「ANIoT」。本コラムでは、IoT化にむけた最初のステップであるPoC(概念検証)環境の構築をを強力に支援し、IoT開発の技術課題を解決する「ANIoT」の特長やメリット、開発秘話などを各種のAWSサービスの事例を交えて紹介します。

製品IoT化を取り巻く環境

近年は、家電機器や、オフィス機器、医療機器など多くの機器のIoT化が加速しています。IoT化することで、機器の故障を遠隔で検知するリモートメンテナンスや、機器に付随する消耗品(例:薬品、インクトナー)の残量をリモートで監視することによるサブスクリプションモデルの実現など、機器のIoT化を通じたDXの取り組みが活発になってきています。
このような急速なIoT化、機器のDX化の流れを受けて、IoT製品の開発現場では、従来の組込制御技術だけでなく、クラウド開発などの多様な技術が求められるようになり、専門知識を有するエンジニア不足が問題となっています。

製品IoT化の課題

前述の通り、エンジニア不足が深刻な中、開発現場では下記のような課題も露呈しています。

  • 様々な種類のデバイス、データ種別への対応が必要
  • サービスリリース後の接続台数増加や機能拡張など、柔軟性の確保が必要
  • 機器とクラウド、クラウドと利用者間でセキュアな通信を実現する必要
  • PoC(概念検証)のスピードスタートが必要

プロトタイプ環境は短期間での構築が必要

プロトタイプ環境構築は、あくまでもPoC(概念検証)を行うための環境づくり。そのため、短期間での構築が必要です。これまで、家電やヘルスケア機器など様々な機器のIoT化は、対応すべき機器や利用用途がプロジェクトによって異なるため、機器の製造元ごとに一からプロトタイプ環境をスクラッチで構築をすることが多く、中にはプロトタイプの構築に数か月かかるというケースもあります。これでは、肝心のPoC(概念検証)の着手が遅れるため、IoT化プロジェクト全体のマイルストンに影響が出てしまいます。

製品IoT化支援サービス「ANIoT(エニオット)」誕生の背景

株式会社シーイーシー(以下、シーイーシー)はこれまで、家電や産業機器をはじめとして様々な製品の開発現場でシステム開発を支援してきました。シーイーシーが本格的に製品のIoT化に携わったのは約10年前。家庭で使うエネルギーを管理するシステム、「HEMS(Home Energy Management System)」の開発支援をしていました。スマートハウス向けの通信仕様である「ECHONET Lite」規格の認証機関であったこともあり、受託によるシステム開発のみならず、その技術やノウハウを活かしてスマート家電やHEMSの通信状況を分析するソフトウェア「EneTrace(エネトレース)」なども提供してきました。このような実績や経験を武器に、近年は、得意の家電機器のIoT化支援を続け、近年ではヘルスケア製品のIoT化を手掛けています。

このような中、シーイーシーは、プロトタイプ環境における基本機能brをあらかじめパッケージ化できないかと、モジュールの共通化に向けた取り組みをはじめサービス化したのが。製品IoT化支援サービス「ANIoT(エニオット)」です。

製品IoT化支援サービス「ANIoT(エニオット)」とは

対象機器との通信をつかさどるIoTゲートウェイ機能、データを保持/処理するクラウド環境、データの表示/操作を行うスマートフォンアプリとWEB管理コンソールの3つを基本機能としてパッケージ化し、短期間かつ少ない作業量でプロトタイプ環境の構築を可能にします。

柔軟性、拡張性がAWSのIoT関連サービス

IoTシステムの心臓部となるクラウド環境の選定は、重要なポイントです。他のクラウドサービスとも比較をした結果、製品IoT化支援サービス「ANIoT(エニオット)」のプラットフォームにはAWSが採用されました。決めては、何だったのでしょうか?
「ANIoT(エニオット)」のIoT開発チームリーダーの株式会社シーイーシー エリア統括事業本部 西日本サービス部 藤本 貴大はこのように語ります。『決め手は、AWSがもつ豊富なサービス群です。AWS IoT Coreをはじめ、IoT関連の仕組みが豊富にあることに加え、データベースやコンピューティング関連のサービスも様々あり、お客様の多様なデータ形式や利用用途へ対応が可能であったことが大きな選定ポイントでした。』

株式会社シーイーシー
エリア統括事業本部
西日本サービス部
藤本 貴大

『一番苦労したのは、いかに拡張性を維持しながら、共通化を進めるかでした。』

IoT化支援プロジェクトは、お客様によって対象となる機器や、取り扱うデータの種別、また、利用用途が様々です。機能を共通化しながらも、これらの様々なシーンで活用できるパッケージに仕上げることが一番の課題であったと藤本は続けます。
通常のIoT開発では、プロトタイプ環境を利用したPoCが終わると、改善点を集約して本開発が行われます。当然、サービスリリース後を想定した接続台数の増加や、機能の追加などが行われますが、AWSなら、台数増加や機能追加に対しても、柔軟に対応でき、利用シーンにあわせたクラウド環境が構築できます。

AWSを製品基盤とするメリット

  • AWSが持つ様々なIoTサービスにより、複数の機器管理が容易に実現
  • 台数増加や機能追加への対応もAWSのコンソールやオートスケール機能で対応出来る
  • 通信の為の認証や証明書発行の処理もAWS内で作成でき、セキュリティ対策にも心配不要

AWSの体系的なエンジニア教育支援

また、エンジニアの確保/増強といった面でもAWSを採用したメリットがありました。それは、AWSの体系的な教育プログラムを活用したエンジニア育成です。

『AWS認定資格が分野ごと、技術レベルごとに設定されているため、初学者から経験者のスキルアップまでシームレスで段階的な育成が可能になりました。また、資格だけでなく動画やハンズオンセミナーなどの教育コンテンツも豊富に用意されているため、スキルに合わせたスキルアップができ、エンジニア育成の大きな助けになっています。』

「ANIoT(エニオット)」は、AWSが提供する強力なサービス群に加え、と整備された教育プログラムを最大限に活用したサービスであることがうかがえます。

「ANIoT(エニオット)」で、多様なニーズに対応できる柔軟なIoT開発が可能に

2021年7月に製品のIoT化支援サービスとして「ANIoT(エニオット)」をリリースし、短期間でのプロトタイプ環境構築を可能とする「プロトタイプ構築サービス」の提供を開始しました。
『サービス名の「ANIoT(エニオット)」には、「ANY(なんでも)」+「IoT」の造語で、様々な製品のIoT化を支援するという想いをこめました』(藤本)

最短3週間でプロトタイプ環境の構築が可能に

こうしてサービス化された製品IoT化支援サービス「ANIoT(エニオット)」の「プロトタイプ構築サービス」は、IoT製品の開発現場で活用すると、条件が合えば、最短3週間で提供が可能となります。
『お客様にPoCの最短でのスタートとともに、じっくりと実施期間を確保いただけるようになり、結果として、より利用者の声やアイデアを取り込んだIoTシステムの開発につながっています。」と藤本は語る。

今後の展開

AWSとともに、お客様の未来をカタチに

IoT製品開発の現場では、人手不足対策などを背景に、多くのお客様がリモートメンテナンスや、オンプレDBからクラウドへのリフトアップといった、IoT化によるDXにチャレンジをされています。『新製品の開発はスピード勝負の一面もあり、お客様は短い時間で試行錯誤をされています。我々シーイーシーは、AWSとともに、「ANIoT(エニオット)」を通じてIoT製品の付加価値向上、業務改善に貢献し、お客様の未来をカタチにするご支援をしていきたいです。』(藤本)

株式会社シーイーシー
エリア統括事業本部 西日本サービス部
(右から)中島 類、藤本 貴大、山門 季晋

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