SFA/CRMの違いとは?それぞれの役割や導入目的について

SFAとCRMの役割や導入目的について解説します


営業活動を効率化・最適化するためのツールとして、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)が注目されています。特に、コロナ禍を契機に社内のDXを促進しようと導入の検討をしている方も多くいます。

しかし、この両者の違いについて、しっかりと理解できている方は意外に少ないのではないでしょうか。この記事では、SFA・CRMそれぞれの概要や役割、扱う情報、機能などの違いを分かりやすく解説します。本記事を読むことで、どういった機能を備えたツールを導入するのが自社に合うのか、ご検討時のご参考になるでしょう。

また、これらを活用した新しい企業活動のスタイルなども説明していきます。

目次

そもそもSFA・CRMって?

では、SFAとCRMの概要について説明していきます。両者の定義は非常に曖昧になってきています。理由は、お互いの機能を包含する製品が出てきているためです。そこでまずは、両者の大まかなイメージを掴むところから始めましょう。

SFA(営業支援システム)とは

SFAとは、Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略称で、日本では一般的に営業支援システムと呼ばれています。主に営業活動の生産性を高めることを目的に導入され、営業プロセスを自動化するなどして、生産性の向上を実現します。

CRM(顧客関係管理)とは

CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略で、日本では顧客関係管理や顧客情報管理、顧客関係性マネジメントなどと訳されます。CRMは、商品やサービス、コンテンツなどを通じて顧客と良好な関係を構築し、売上の拡大や収益の向上を促す経営マネジメントの手法。また、これらを管理するためのシステムを指すケースがみられます。

SFA・CRMの具体的な違いについて

それでは、SFAとCRMの具体的な違いについて解説していきます。主に、役割・扱う情報を軸に、両者の違いを明確にしていきましょう。なお、SFA・CRMは現在、ツールの役割や内包する機能などが多様化しているため、一括りに説明することは難しくなっています。したがって、SFA・CRMの核となる役割や機能などに絞り、それぞれ解説していきます。

SFAの主な役割や目的

SFAの役割・目的は、主に企業と企業の関係性を把握することです。具体的には、“どの営業担当者が・どの企業と・いつ・どこで・どのような商談を行ったのか”など、商談記録の詳細を管理・把握するなどして、効率的な営業活動につなげます

SFAや情報蓄積ツールがない状態では、各営業担当者が顧客の情報や顧客に対してどのような活動をしてきたのかなどの情報を属人的に管理することになります。そうなると、マネージャー陣らが営業活動全体を俯瞰で捉えることができず、個々の営業活動がブラックボックス状態に。勘と経験に頼った営業推進となってしまいます。

SFAを導入することで、顧客との関わり方や案件の進捗が可視化されます。マネージャーからの適切なタイミング・内容の指示や、蓄積された情報から売上予測を立てるなど、より効率的な営業推進をすることが可能となるのです。

また、ベテランやトッププレーヤーの営業ノウハウも蓄積されます。このデータを分析することで、営業活動ノウハウをモデル化・平準化して人材育成に役立てたり、転職・退職・担当変更時などにおいてもスムーズに引き継ぐことができるようになるでしょう。

さらに、SFAの製品によっては営業日報や見積書・契約書作成の機能があります。報告書や書類作成には多くの時間を取られてしまいがちになりますが、このようなSFAツールを活用することで、営業活動の効率化を図ることができ、業務改善につながります。その結果、営業が本来使うべき顧客と向きあう時間を最大化することができるようになり、業績向上につながっていくでしょう。

CRMの主な役割や目的

一方、CRMの役割・目的は、主に企業と顧客の関係性を把握することです。主に、顧客データを管理したり、プロモーションや顧客サポートを行ったりする機能があります。CRMを導入することで各担当者や各部署などがそれぞれ管理している顧客一人ひとりとの関係を一元管理して把握することができます

例えば、顧客の属性や行動履歴の蓄積・管理を行います。蓄積されたデータを分析して属性ごとに商品・サービス・サポートなど有益な情報をメールで配信したり、確度の高い見込み客にピンポイントで販促キャンペーンを行ったりすることができます。

つまり、データを元に、購買における志向性や今後の購買見込みなどの予測を立て、アプローチをし、その後の反応を元に次の施策を考える、といったPDCAサイクルを回すことが可能になります

このように、さまざまな角度から顧客の情報を分析・把握することで、顧客一人ひとりに応じた精度の高いマーケティング施策の実施につなげ、顧客満足度を向上させることができます。満足度が高まれば、提供しているサービスのプランアップや、複数商品を抱き合わせるクロスセルにつながり、業績の向上を狙うことができるでしょう

SFAが扱う情報・データ

SFAは「営業支援システム」という名の通り、営業活動を支援するための情報やデータを扱います。具体的には、主に商談記録に関する情報やデータです。どの営業担当者が・どの企業と・いつ・どこで・どのような商談を行ったのか。また、何回目の商談であるのか、これまでにどのような提案を行ったのかなどの情報が蓄積されていきます。蓄積する情報の詳細は業種や企業によってさまざまです。

例えば製造業では、企業によっては顧客だけではなく代理店との折衝をする場合もあるでしょう。また、商談を進めていくうちに、生産部門など他部署とタイムリーに商談情報を共有し、受注に向けて連携しながら営業活動を行う必要があります。
>>こちらの動画で製造業向けの例をご紹介しています。

このように、業界や企業によって管理・共有するべき情報や状況が異なるという点も視野に入れておきましょう。実際にSFAを検討する際は、自社の営業プロセスの特徴の把握や、蓄積するべき情報や共有するべきステークホルダーを整理するなど、準備をするとよいでしょう

CRMが扱う情報・データ

主に直接的なコミュニケーションの状況を管理するSFAとは異なり、CRMでは、顧客とのありとあらゆる接点に関わる情報やデータを扱います。ダイレクトメールの配信やテレアポの状況など企業が行う能動的なアクションだけではなく、顧客による自社サイトの閲覧履歴やダイレクトメールの開封状況、購入履歴、問い合わせ状況など、その内容は多岐に渡ります。

また、CRMによっては購入後のサポートを効率よく行うための情報管理を行う機能があります。
例えば、運用・保守まで行う契約を交わしている情報通信業では、現在の保守契約の期日に関する管理や次回契約更新に関するアラートをCRMで行うことが可能。さらに、顧客からの問い合わせのプラットフォームとしてCRMを活用したり、営業とSEとの情報や状況の共有を1つのツール内で完結させることで、顧客への適切かつ迅速な対応が可能になります。
>>こちらの動画で情報通信業向けの例を紹介しています。

このように、SFAやCRMはあらゆる接点に関わる情報を取り扱うため、活用シーンは多岐に渡ります。導入をした効果が実際にどの程度あるのか測にくいツール。下記記事で解説しているように、小さく始めて大きく育てることがポイントです。
>>SFA/CRMを現場が使える仕組みにする方法とは

SFAやCRMの注意点

ここまで役割や扱うデータなどについて見てきた中で、SFAやCRMを導入するメリットも浮かび上がってきたと思います。一方で、SFAやCRMを導入する際は注意点があります。下記では代表して3つの注意点を解説します。

導入後の効果測定が難しい

SFAやCRMは、導入をした効果が実際にどの程度あるのか測にくいツールです。理由は、直接的に売上を上げたりコストを削減したりするものではないからです。また、データを分析して新しい施策につなげるには、多くのデータを貯める必要があり、時間がかかります。

導入したらすぐに業績に変化が起きるわけではないので、長い目でツールを育てていくという感覚が必要です。

定着させることが難しい

導入したからといってすぐに効果が現れるわけではありませんが、効果を実感できるようになるまでに運用を定着させることも難易度が高いです。

特に、情報を入力することを非常に手間に思う営業担当者も少なくありません。しかし、SFAやCRMは、運用が定着してこそ効果が見えてくるものです。情報の更新が行われず誰も使わなくなり、導入したのにまったく活かすことができないという事態になりかねません。

入力の手間を最小限にしつつ、役に立つデータを蓄積できるようにするためにも、業務プロセスなどを見直しながら定着させる工夫をしていきましょう

効果が現れにくいと導入や運用に対して消極的になりやすいですが、目的をしっかり持ち、システムが導入・定着するまで使い続けることと、使い続けられる体制構築が重要です。

情報の濃淡による精度のばらつき

情報の濃淡は入力する人によってかなり変わってきます。それにより、精度の高い営業や顧客へのフォローがしにくい状態になる可能性もあります。

例えば、異動などによって営業担当者が変わる場合、前任者が入力している情報が薄いと、後任担当者は適切なフォローができなくなってしまいます。その結果、前任の方がよかったなどという不満足となり、顧客離れが起きてしまいます。情報の引き継ぎ不足による顧客離れは珍しいことではありませんが、普段からしっかりと情報を残していれば、担当変更は新たな商談機会のチャンスともなるでしょう。

前項で説明したとおり入力の手間を省くことも大切ではありますが、濃い情報を効率よく残せるような設計や工夫も重要です。

ここまで解説してきた注意点は、主に導入目的のあやふやさや導入に対する納得度の低さ、重要性の認識の薄さに起因します。導入時には、「なぜ必要なのか」、「自社にとって使いやすいか」、「情報を残すことでどのように活用されるのか」など定義し、共通認識とすることが不可欠です。

SFAやCRMの導入や定着にあたってのコツは、こちらの記事が参考になります。さまざまな準備を整えて、SFA・CRMを大切な資産に育てていきましょう。
>>SFA/CRMを現場が使える仕組みにする方法【現場に定着する運用のポイント9選】

SFA・CRMは自社に合うものを選びましょう

ここまでSFAとCRMに焦点を当て、その役割や目的、注意点などについて解説してきました。営業活動を支援するSFAと、マーケティング活動を最適化するCRMは、活用の目的や方向性が異なります。そのため、両者の違いを適切に見極め、自社の状況に合ったツールの導入判断が重要です。

では、どのようにツールの検討を行えばよいのでしょうか。下記にて検討のポイントを解説します。

SFAの導入を検討するケース

SFAの導入を優先的に検討するべき例としては、営業活動全体の動きを可視化したい場合です。

例えば、複数事業の営業間で情報共有ができておらず一つの顧客内でバッティングしてしまったり、他部門と連携して営業活動を進めるスタイルの場合、効果的でしょう。また、日々の営業活動状況をメンバーから吸い上げ、営業戦略や売上予測をしていきたい管理者層にとってもSFAは重要な役割を担います。

CRMの導入を検討するケース

CRMの導入を優先的に検討するべき例としては、たくさんの顧客を抱えていて、さまざまなアプローチ方法で販売を強化したいと考えている場合です。

例えば、名刺交換や会員登録などで取得したリードに対するキャンペーンや既存顧客に対するメルマガ配信など、さまざまな施策でエンゲージメントを高め、購入やリピートにつなげたい場合、CRMが持つ機能は非常に効果的です。

SFA・CRMの導入・連携が、企業活動を最適化します

デジタルトランスフォーメーション(DX)などが叫ばれる昨今、従業員の勘や経験に頼る営業・マーケティングの活動は、もはや限界を迎えていると言われています。ここまで解説してきたように、データを用いた科学的な営業活動が顧客満足度を向上させ、業績向上に寄与します。それを実現するためには、SFAとCRMの導入・連携が重要となります。

営業活動とマーケティング活動は、企業にとって車の両輪です。マーケティング部門がリード(見込み顧客)を獲得して分析し、これらの情報を共有した営業部門が適切にアプローチを行う。受注後は顧客の状況や購買活動に合わせて適切なフォローを行う。このような部門間のシナジーが、企業活動を前進させます。

シナジーをシームレスに発揮するためにも、SFAとCRMの連携が重要になります。各部門が異なるプラットフォームで情報を共有するのではなく、SFAとCRMを同一のプラットフォームで活用することにより、シームレスな情報共有が可能となるのです。お互いの役割を内包する機能を持つSFA・CRM製品が出ているのは、そのためです。

特にコロナ禍でテレワークが進む昨今は、部門間で細かな情報を共有することが困難です。しかし、SFAとCRMを導入・連携することによって、ツール上で各種データの把握が共有できるようになれば、業務の効率性が格段に向上するのはいうまでもありません。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、SFAやCRMの特徴や注意点、選ぶ基準を解説してきました。

先述のとおり最近では、CRMの機能を内包するSFA、またSFAの機能を内包するCRMなど、お互いを補完する多種多様なツールが登場しています。検討される場合、製品や機能の多さから迷うこともあるでしょう。

まずはイメージを持つために、製品デモを見ることをおすすめします。
下記の動画では、Microsoftが提供しているDynamics 365の活用イメージをご紹介しています。具体的な動きを見ることでイメージを膨らませ、自社に合う製品の導入検討の一助になれればと思います。
>>Dyanmics 365のデモ動画はこちら

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動画やハンズオンに限らず、シーイーシーでは、お客様からヒアリングを行い、適切なSFA・CRMの導入支援をサポートしています。また、SFA・CRMとすでにご利用のエクセルなどMicrosoft製品を連携させたり、企業活動に必要な各種ツールを開発・提供しています。

随時相談会なども行っておりますので、導入をご検討の際はぜひこちらのページをご覧ください。
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