「プライベートクラウド」とは?種類や仕組み、導入ポイントを分かりやすく解説
この記事では、さまざまな「クラウドコンピューティング(インターネットを活用し、ソフトウェアやデータベースなどのコンピューター資源を遠隔から利用できるようにしたシステム形態)」の環境のうち、「プライベートクラウド」に着目。その他クラウドとの違いや、プライベートクラウドの種類、導入のポイントなどを分かりやすく説明しています。
プライベートクラウドとは
一般的にプライベートクラウドとは、企業などが自社システムで利用するためだけに構築したクラウドコンピューティング環境を指します。また、クラウド事業を手掛ける事業者が所有するスペースや機器、クラウド環境の一部を借り受けて、外部からのアクセスを遮断し、リソースをユーザーが占有できるようにしたクラウド環境を意味するケースもみられます。
プライベートクラウドの利用では、独自のシステムや、セキュリティー性の高い環境などを構築できることがメリット。カスタマイズ性が高いため、自社の業務に応じて自由にシステムを設計することや、自社のセキュリティーポリシーを満たすよう独自にシステムを構築することなどが可能となっています。
同時に、プライベートクラウドにはさまざまなデメリットが存在します。クラウドコンピューティング環境を独自に構築するための開発コストや、外部リソースの利用による運用コストなどが掛かってしまうことが、その例として挙げられます。
クラウドコンピューティングの種類(パブリッククラウド・ハイブリッドクラウド)
クラウドコンピューティングの種類は大きく分けて3つあります。1つ目は、前段で紹介した独自性が強いプライベートクラウド、そして2つ目が、公共性が高い「パブリッククラウド」です。また、プライベートクラウドとパブリッククラウドの中間に位置する「ハイブリッドクラウド」が存在します。
・パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、情報システムなどを手掛ける事業者がインターネットを経由して、一般企業や個人の利用者向けに提供するクラウドコンピューティング環境や、またはそのサービスです。パブリッククラウドを活用したサービスの例には、「AWS(Amazon Web Services)」「GCP(Google Cloud Platform)」「Office 365」などが挙げられます。
株式会社シーイーシーでは、堅牢な設備と広帯域の回線を兼ね備えたデータセンターを活用して、パブリック型のクラウドサービス「BizVision PLUS Public」を提供。組織や規模に応じてプランを選択することができ、専用仮想マシンなどのITリソースをすぐに利用することが可能です。
また、Microsoftが手掛けるパブリッククラウドサービス(「Microsoft Power Platform」「Microsoft Dynamics 365」「Microsoft Azure」など)について、導入・定着・運用診断などを支援するクラウドサービス統合ソリューション「Convergent(コンバージェント)」も提供。24時間365日の保守運用サポートなどを通じて、事業主の業務効率化や生産性向上などを支えています。
・ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドとは、プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせたクラウドコンピューティング環境のことです。ハイブリッドクラウドでは、高いセキュリティーが求められる個人情報や機密データの管理などをプライベートクラウドで処理。また、自社クラウド環境での処理が増える時期などにパブリッククラウドを代用し、環境への負担軽減を行います。なお、プライベートクラウドとパブリッククラウドの両方を扱うため、管理が複雑になるといったデメリットも存在します。
プライベートクラウドの種類(オンプレミス型・ホスティング型)
プライベートクラウドは、「オンプレミス型プライベートクラウド」と「ホスティング型プライベートクラウド」など大きく2種類に分類。ここからは、両者の仕組みや特長などについて、それぞれ解説していきます。
オンプレミス型プライベートクラウド
「オンプレミス型プライベートクラウド」とは、サーバーなどのハードウェアを自社施設内に設置し、情報システムの構築・運用・保守を自社で行うプライベートクラウドです。プライベートクラウドはこのオンプレミス型プライベートクラウドを表すケースが多く、その仕組みや特長、メリットは最初に説明した内容と基本的に変わりません。
ホスティング型プライベートクラウド
ホスティング型プライベートクラウドとは、パブリッククラウドの事業主が所有するスペースや機器、クラウド環境の一部を借り受け、社外からのアクセスを遮断し、専用のプライベートクラウドとした環境を意味します。必要なシステムを借り受けて運用を行うため、「仮想プライベートクラウド」や「ホステッド型プライベートクラウド」とも呼ばれています。
システムを独自に構築するオンプレミス型に比べると、ホスティング型プライベートクラウドは導入コストや運用コストが安いのが特長です。またシステム提供者から、サーバーの保守などさまざまなサービスを受けることが可能となっています。
ホスティング型プライベートクラウドの構築などに関しては、「クラウドでIT環境を最適化したいが、他社と同じクラウド基盤では性能の確保やセキュリティーに不安が残る…」など、さまざまな声が寄せられます。シーイーシーではこうした事業主の悩みを解決するため、完全専用のプライベート型IaaSクラウドサービス「BizVision PLUS Private」を開発。クラウド環境の構築から運用・保守までをワンストップでサポートしています。
プライベートクラウド導入のポイント
プライベートクラウドは、企業の業務やシステム環境などを大きく左右します。オンプレミス型・ホスティング型のメリット・デメリットや目的などを明確化にした上で、導入をご検討ください。
オンプレミス型 | ホスティング型 | |
---|---|---|
費用 | 非常に高い | 安い |
導入スピード | 時間がかかる | 早い |
カスタマイズ性 | 非常に高い | 高い |
セキュリティー | 非常に高い | 高い |
障害への対応 | 早い | 早い |
導入に向く企業 | 大企業 | 大企業~中小企業 |
運用負荷 | 高い | 低い |
また、クラウドの導入に当たっては、特に以下の4つのポイントを抑えましょう。
1.自社のネットワーク環境
自社ネットワーク環境の回線が必要か否かによって、導入にかかるコストは大きく変わります。特に専用回線で接続する場合は回線の使用料や接続料などが追加でかかるため、費用のシミュレーションが重要になります。
2.BCP対策(事業継続計画)
有事や災害などを考慮し、どのようなバックアップ体制を築くべきであるのか。また、導入サービスによる有事のバックアップ体制、破損した自社のIT資産がどれくらい補償されるのかなどを確認することが重要です。
3.カスタマイズ性
自社で定めたシステム要件に従い、自社でハードウェアやソフトウェアをどこまで制御したいのか。また、どこまでを自社の運用オペレーションに組み込むことができるのか。カスタマイズの範囲について、必ず把握するようにしてください。
4.運用支援メニューの詳細
サーバーの監視や障害対応、発生時の対応体制などについて、サービス提供者がどのような運用サポートを提供できるのかチェックしてください。
自社に合ったプライベートクラウドを
プライベートクラウドに関する理解は深まったでしょうか。実際、プライベートクラウドの環境構築に当たっては、この他さまざまな技術・ビジネス的要素を考慮しなければなりません。シーイーシーでは、クラウド環境の構築を検討する事業主に向けて、プライベートクラウドやパブリッククラウドに関するノウハウを提供しています。ぜひ、この機会にサービス導入を検討してみてはいかがでしょうか。