VBアプリのWeb化を失敗しないためのロードマップ

サポート切れのVBアプリやクライアント配布の手間、ActiveXや特殊な帳票への依存など、課題は山積みです。
こうした課題を「いつかはやらなければ」と認識しつつも、具体的な一歩を踏み出せずにいませんか。
本記事では、そのまま放置された状態のVB資産を安全にWeb化するための、失敗しないロードマップを解説します。現状棚卸しの進め方から現実的な技術選定、移行費用の見積り方まで、情シス担当者が明日から使える実践的アプローチを紹介します。
なぜVB系クライアントサーバーのDX化は「先送り」されるのか?

長年業務を支えてきたVB製クライアントサーバーシステムの刷新が、多くの企業で「重要だが緊急ではない」タスクとして先送りされがちです。その背景には、運用、技術、そして人材という複数の要因が複雑に絡み合っています。
配布・更新負担、テレワーク・拠点対応の限界
クライアント端末へのインストールを前提とするVBアプリは、端末が増えるほど配布や更新の工数が増大します。小規模な環境であれば手動での対応も可能ですが、拠点や従業員数が増えるにつれて、更新計画の遅延や適用漏れといったリスクが顕在化します。結果として、「次の大型改修まで現状維持で」「現場の業務繁忙期が過ぎてから」といった判断が下され、近代化が先送りされやすくなります。
加えて、テレワークやサプライヤー連携が一般化した現代において、社外からのアクセスを前提としていない設計は大きな足かせとなります。VPN帯域のひっ迫や、端末ごとの複雑なセキュリティ設定は運用を複雑化させ、機能改善よりも「現状の接続を維持する」ことが優先されがちです。
サポート切れや保守人材不足という差し迫った問題
VB6.0や古いランタイムに依存するシステムは、OSや開発環境のサポート終了という将来的に顕在化し得る重大なリスクを抱えています。障害発生時に公式サポートが得られないことや、改修する環境がない、新たな脆弱性に対応できないといった状況は、事業継続の観点で看過できないリスクです。
さらに深刻なのが、保守を担えるVB技術者の減少です。経験豊富なエンジニアの高齢化や退職により、改修や障害対応のリードタイムは長期化する一方です。仮に人材を確保できたとしても、過去の複雑な改修履歴やドキュメント不足が影響し、影響範囲の見極めに多大な時間を要します。その結果、「動いているうちは触らない」という判断がなされ、抜本的な刷新がさらに遅れるという悪循環に陥ります。
サポート終了したVBシステムのリスクについてはこちらから

ActiveX/COM、特殊な帳票、周辺機器への依存という技術的な壁
VBアプリのWeb化を阻む最大の技術的障壁が、Windowsデスクトップ環境に強く依存した機能群です。特に、ActiveX/COMコンポーネントを利用した独自の画面制御や、特殊な帳票ビューワ、シリアル/USBポートで接続されたバーコードリーダーやラベルプリンタなどは、そのままWebブラウザ上で再現することはできません。
しかし、これらの課題は「100%同じ機能」に固執せず、「業務要件を満たす代替手段」という視点で見直すことで乗り越えられます。例えば、帳票はサーバーサイドでPDFを生成する方式に切り替え、周辺機器はWeb APIを介して連携する仕組みを構築するなど、多くの場合で解決策は存在します。重要なのは、機能ではなく「業務の成果」から要件を再定義し、最適な代替案を設計することです。

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DX推進におけるWeb化の重要性

クライアントサーバーシステムが抱える制約は、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で大きな足かせとなります。なぜ今、Web化がその重要な一歩となるのでしょうか。
DX推進については下記の記事でも触れています

クライアントサーバーシステムとDXの関係性
クライアントサーバーは、端末・ネットワーク・配布の前提が固定的なため、利用者や連携先が増えるほど制約が顕在化します。DXでは、利用場所・端末・接続形態の多様化に耐える拡張性に加え、データの一元管理と可視化が求められます。従来の構成でも部分的な改善は可能ですが、全社的な最適化(横展開・データ連携・開発スピード)を考えると、アプリケーション層をWeb基盤へ寄せることが合理的です。
Web化がDX推進の第一歩となる理由
Web化がDXの起点となる理由は、ビジネスの俊敏性と拡張性を大きく向上させる点にあります。第一に、ブラウザさえあればどこからでもアクセス可能になるため、利用の柔軟性が格段に高まります。これにより、テレワークや外部パートナーとの連携がスムーズに進みます。
第二に、アプリケーションの更新がサーバー側で完結するため、クライアントへの配布作業がなくなり、運用の標準化が実現します。これにより、情報システム部門は煩雑な管理業務から解放され、より戦略的なIT投資に注力できます。
さらに、ゼロトラストなど現代的なセキュリティモデルとの親和性が高く、堅牢なセキュリティ要件への適合が可能です。そして最後に、APIを介したシステム連携が容易になるため、ERPやCRM、分析基盤との連携が加速し、データドリブンな意思決定の土台が整います。
Web化がもたらすメリットと利便性

Web化への投資は、コスト削減や業務効率化といった短期的なメリットに加え、事業成長を加速させる長期的な効果ももたらします。
運用コスト削減と業務効率の向上
最も直接的なメリットは、運用コストの削減と業務効率の向上です。これまで情報システム部門を悩ませてきた、クライアントPCへのインストーラ配布や、個々の端末環境の差異に起因するトラブルシューティングといった工数が劇的に削減されます。リリース作業もサーバー側でコントロールできるため、障害発生時の切り分けも迅速化し、事業への影響を最小限に抑えることが可能です。
新機能開発スピードの加速と事業成長への貢献
Web技術を基盤とすることで、ビジネス環境の変化に迅速に対応できる体制が整います。豊富なWebフレームワークやクラウドサービスを柔軟に組み合わせることで、新機能の開発スピードが向上します。また、機能の一部をAPIとして分離・共通化すれば、PC向けWeb画面とモバイルアプリでロジックを再利用するなど、効率的な開発が可能になります。Web技術者は人材も豊富なため、長期的な保守・改善体制を構築しやすい点も大きなメリットです。
VB系アプリのWeb化、失敗しないためのアプローチ

Web化プロジェクトを成功に導くためには、計画的かつ現実的なアプローチが不可欠です。ここでは、失敗しないための3つのステップを解説します。
現状棚卸し:画面・帳票・バッチ、そして「依存」の洗い出し
成功の鍵は、対象範囲と技術的依存を正確に「定義」することから始まります。「アプリケーションの機能」と「技術的な依存関係」という2つの軸で棚卸しを進めましょう。
まず機能面では、画面・帳票・バッチ処理をリストアップします。どの画面を(機能)、誰が(利用者)、どのくらいの頻度で使っているのか。帳票はどのようなレイアウトで、どのプリンタから出力されるのか。バッチはいつ、どのシステムと連携して動くのか。これらを「業務の視点」で整理します。
次に技術面では、周辺機器と内部の技術要素への依存を特定します。バーコードスキャナや特殊なプリンタ、そしてActiveX/COMコンポーネントや32bit環境への依存といった、目に見えにくい技術的負債をリストアップすることが、後の手戻りを防ぐ上で極めて重要です。
技術選定のポイント:ASP.NET Core、Blazor、API設計
棚卸しで得られた情報をもとに、最適な技術を選定します。重要なのは、一度にすべてを刷新しようとせず、段階的に移行可能なアーキテクチャを描くことです。例えば、既存の業務ロジックをASP.NET Coreなどで構築したAPIとして切り出し、再利用可能な資産とします。フロントエンドのUIは、C#のスキルセットを活かせるBlazorを採用したり、あるいはSPA(Single Page Application)として構築したりと、開発体制に応じて柔軟に選択します。このとき、認証・認可の仕組みを初期段階で標準化しておくことが、将来の拡張性を担保する上で鍵となります。
互換性の課題を乗り越える:帳票・周辺機器の代替戦略
互換性の問題は、「旧システムと100%同じ」に固執するほど難しくなります。ここでも「業務成果の再定義」が重要です。特殊な帳票ビューワへの依存は、サーバーサイドでPDFを生成する方式に切り替えることで解消できます。周辺機器連携は、PCに常駐する小さなプログラム(エージェント)を介してWeb APIと通信する、といった方式で代替可能です。デスクトップアプリの操作性とWebブラウザの操作性の違いは避けられないため、その差を埋めるための丁寧なUI設計やヘルプ機能で補います。
費用・期間を「見える化」する移行プロジェクトの検討

Web化の意思決定において、経営層が最も知りたいのは「結局、いくらかかるのか」という点です。正確な見積りのためには、多角的な視点での規模評価が欠かせません。
規模指標(画面数、帳票数、依存度)による費用の目安
見積りの精度は、少なくとも「機能規模」「技術的難易度」「品質・運用要件」という3つの軸で評価することで向上します。
- 機能規模:
単純な画面数だけでなく、画面の複雑度(データ入力中心か、複雑な業務ロジックを含むか)、帳票レイアウトの難易度、バッチ処理の連携先の多さなどを加味します。 - 技術的難易度:
ActiveX/COMや専用ドライバへの依存度、パフォーマンス要件の厳しさなどが、コストを大きく左右します。 - 品質・運用要件:
求められるセキュリティレベルや可用性、新旧システムの切替方式(一斉移行か、段階的移行か)といった非機能要件も、工数に影響を与えます。
無料診断でプロジェクト全体の「見える化」を
これらの要素を自社だけで整理するのは困難です。弊社の「無料診断」では、専門家が貴社のシステムを客観的に評価し、プロジェクト全体の「見える化」をお手伝いします。移行方針の提案から概算の費用・期間レンジまで、社内での合意形成に役立つ具体的な情報をご提供します。

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貴社のVBアプリWeb化を成功に導くために
VBアプリのWeb化は、単なる技術の刷新ではなく、業務、運用、そして「人」が関わる改革プロジェクトです。成功の近道は、現状を正しく把握し、現場と合意形成しながら段階的に進めることにあります。
本記事で解説したポイントを、ぜひ貴社の検討にお役立てください。
- 現状の正しい把握:
まずは棚卸しと依存関係の見える化から始めます。 - 業務成果の再定義:
「完全な再現」にこだわらず、代替設計で本質的な課題解決を目指します。 - 段階的な移行:
止められない業務を守るため、パイロット導入や新旧共存期間を計画します。
何から手をつければよいか分からない、という場合は、ぜひ弊社の無料診断をご活用ください。プロの視点で、貴社のWeb化成功に向けた第一歩をサポートします。

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