【セミナーレポート 】VMware移行先の選び方──Red Hat OpenShift Service on AWS(ROSA)/OpenShift Virtualizationで進める段階的モダナイズ

【セミナーレポート 】VMware移行先の選び方──Red Hat OpenShift Service on AWS(ROSA)/OpenShift Virtualizationで進める段階的モダナイズ
この記事で分かること
  • Broadcom買収後にVMware環境で顕在化したコスト・サポート・契約形式の変化と、移行を「守りの投資」で終わらせるリスク
  • オンプレ仮想化基盤・パブリッククラウド・コンテナ基盤という選択肢と、Remain/Replatform/Refactorの戦略パターン
  • VMとコンテナを単一基盤で扱えるOpenShift Virtualizationの設計思想と、ROSAが「移行先」ではなく「モダナイズ基盤」となる理由
  • 現状把握→依存関係整理→移行戦略選定の3ステップと、Step1 脱VM → Step2 運用最適化 → Step3 クラウドネイティブ化に至る段階的モダナイズ
  • MTVを活用したVM移行の進め方と、「VMware移行体験パック」やハンズオンセミナーの活用イメージ

2026年7月22日、「脱VMwareに付加価値を:VMの移行だけで終わっていませんか? ~ OpenShift(ROSA)活用による次世代基盤への第一歩 ~」というセミナーが開催されました。本記事では、その講演内容のポイントをご紹介します。

2026年7月22日にマジセミで配信したセミナーのセミナーレポートです。

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目次

登壇者

レッドハット株式会社
技術営業本部 クラウドスペシャリスト部
シニアスペシャリストソリューションアーキテクト(Cloud Architect)
荒木 俊博

株式会社シーイーシー
営業本部 エンタープライズ営業部

杉山 繰帆

株式会社シーイーシー
インテグレーションセグメント ビジネスイノベーションサービス事業部

首都圏サービス部
北林 修平

Broadcom買収後のVMware環境で顕在化した変化と、「移行だけ」では届かない次期基盤の要件

はじめに、2023年のBroadcomによるVMware買収を契機として、多くの企業で仮想基盤の再検討が急務となっている背景を整理します。コスト・サポート・契約形式の変化とハードウェア調達リスクが重なるなか、単に別基盤へVMを載せ替えるだけでは、将来の競争力強化には結び付かない現状を明らかにします。

VMwareは、1台の物理サーバー上で複数の仮想マシンを稼働させる仮想化技術のパイオニアとして、中核製品vSphereを中心に多くの企業のIT基盤を支えてきました。ネットワーク仮想化のNSX、ストレージ仮想化のvSANなど、データセンターを包括的にカバーする製品群と長年の実績により、大企業や自治体にも広く採用されています。

そのVMwareを取り巻く環境が、2023年のBroadcomによる買収を境に大きく変化しました。具体的には、多種多様な製品群が4つのエディションに集約され、課金体系が仮想メモリの利用量ベースから物理サーバーのCPUコア数ベースへ変更され、販売モデルもライセンス販売からサブスクリプション型へ移行しています。これらの変更は、多くの企業にとって実質的な値上げとして作用しています。加えて、パートナー体制の見直しやサポート面の変化も、継続利用を検討するうえでの不安要素となっています。

さらに、ハードウェア調達面にも新たなリスクが顕在化しています。AIデータセンターの急増に伴い、メーカーがAI専用の高性能部品の製造に注力するようになり、一般的なサーバー向け部品の不足が始まっています。その結果、サーバー価格の上昇と納期の長期化が進み、「必要になったら買い足す」という従来型の調達が通用しにくくなっています。DX推進や老朽化対策、セキュリティ対策といった従来の課題に、VMwareに起因するコスト・サポート・契約形式の変化という新たな課題が重なった格好です。

こうした状況下で注目したいのが、移行検討の実態です。セミナー参加者へのアンケートでは、「VMwareを他のオンプレ仮想化基盤へ移行することを検討している」という回答が最も多く、次いで「VMwareをそのまま継続利用」と「クラウド仮想化基盤への移行を検討」が同程度の割合でした。

仮想化基盤に関するご質問

つまり多くの企業が、まずは「現状のまま別基盤へ移す」ことを優先しています。しかし、この判断はコスト増を回避するための「守りの投資」にとどまるリスクをはらんでいます。基盤の刷新は大きな投資を伴う一方で、そのタイミングは基盤の将来像を描き直せる数少ない機会でもあります。移行だけで終わらせるか、次の成長につなげるかの分岐点がここにあります。

移行先を絞り込むための考え方──選択肢の広がりと3つの戦略パターン

次に、移行先候補が年々広がるなかで判断が難しくなっている構造を整理します。オンプレミス継続・パブリッククラウド・コンテナ基盤という選択肢それぞれの特性を踏まえ、自社ワークロードに合致する判断基準を示します。


VMwareからの移行先は、大きく3つの方向に分けられます。1つ目はNutanix AHVやMicrosoft Hyper-Vといった新たなハイパーバイザーへの移行、つまりオンプレミス仮想化基盤の載せ替えです。2つ目はAmazon EC2やAzure VMといったパブリッククラウドへの移行です。3つ目はコンテナ基盤への移行で、Red Hat OpenShiftのように仮想化機能を内包した基盤も選択肢に入ります。

移行先MAPの提示

どの方向を選ぶかは、ワークロードの特性によって異なります。Web/バッチ/DB/APIといったアプリケーションの種別や、可用性要件・変更頻度といった特性がシステムごとに異なるため、一律の正解はありません。比較の一例として、移行のしやすさ、コスト、クラウド・コンテナへの発展性、サポート体制といった軸で整理すると、Nutanix AHVは移行のしやすさに優れる一方コスト面に課題があり、Microsoft Hyper-Vは小規模環境に適し、Red Hat OpenShiftは発展性とサポートの面で強みを持つ、といった違いが見えてきます。

戦略のパターンは、大きく3つに整理できます。1つ目は「Remain(現状維持)」で、値上げを許容しつつ従来通りの仮想マシン運用を継続する選択です。2つ目は「Replatform(新基盤への移行)」で、VMの構成を変えずにそのまま新基盤へ移す方法で、移行期間が短く変更頻度が低いシステムに適しています。3つ目は「Refactor(クラウドネイティブ化への再設計)」で、アプリケーションの根本的な再設計を行い、システム競争力の強化を図る方法です。変更頻度が高く技術負債が多いシステムに向いています。

検討Step③:移行戦略選定

重要なのは、これらを全システム一律で選ぶのではなく、ワークロードごとに適切なパターンを選び分けることです。そして移行のタイミングを、単なるリプレースではなく、基盤の将来像を描き直せる機会として活かす視点が求められます。

OpenShift Virtualizationが拓く仮想基盤の未来──VMとコンテナを一基盤で扱う設計と「モダナイズ基盤」としての位置付け

続いて、Red Hat OpenShiftが備える「OpenShift Virtualization」の役割と、それが単なる移行先ではなく「モダナイズ基盤」として機能する理由を解説します。VMとコンテナを同一プラットフォームで管理できるユニークな設計と、脱VMware後の運用改善までを見据えた基盤選定の考え方を示します。

OpenShiftは、レッドハットが提供するKubernetesベースのコンテナ管理プラットフォームです。その特徴的な機能がOpenShift Virtualizationで、コンテナ化できない仮想マシンも同一基盤上で稼働させることができます。ハイパーバイザーにはKVMを採用しており、コンテナ基盤の付加機能という位置付けではなく、本格的な仮想化基盤として必要な機能を一通り備えています。

運用面では、Infrastructure as Code(IaC)が標準機能として採用されている点が大きな特徴です。構成情報をYAML形式のテキストとして管理でき、VMの配置先はリソースの空き状況などを考慮して自動的に決定されます。GPU搭載機に配置するといったルールを定義することも可能です。なお、オンプレミスで利用する場合はベアメタルの物理マシンを用意する前提となります。

この設計の利点は、「VMとして移行したシステムを、その後段階的にコンテナ化していく」という道筋を一つの基盤上で描けることです。脱VMware後の運用改善や将来のクラウドネイティブ化までを見据えた場合、VMとコンテナを別基盤で二重運用する必要がなく、管理の一元化が見込めます。

そのOpenShiftを手軽に導入する形態として位置付けられるのが、ROSA(Red Hat OpenShift Service on AWS)です。レッドハットとAWSが共同で提供するフルマネージド型のサービスで、インフラ部分とOpenShiftの機能部分について、専門エンジニアが24時間365日体制で運用とサポートを提供します。既存のAWSアカウントで支払いが可能で、オンデマンドの従量課金や年間契約による割引も利用できます。

ROSAのコスト面の特徴として、EC2への直接移行とは異なり、仮想マシン単位でハイパーバイザー上にオーバーコミット(リソース集約)が可能な点が挙げられます。これによりリソース利用効率が高まり、コスト最適化への寄与が見込めます。こうした特性から、ROSAは単なる「移行先」ではなく、移行後の運用最適化やコンテナ化までを視野に入れた「モダナイズ基盤」として位置付けられます。

「移行だけ」の刷新投資を「競争力強化の一手」に変える──3ステップの検討と段階的モダナイズの進め方

まとめとして、移行を成功に導く3ステップと、Step1 脱VM → Step2 運用コスト最適化 → Step3 クラウドネイティブ化という段階的モダナイズの実践論、そして実際に一歩を踏み出すための支援策を整理します。移行のタイミングを、基盤の将来像を描き直せる数少ない機会として活かす道筋を示します。

脱VM移行は、現状把握、依存関係整理、移行戦略選定の3つのステップで進めます。第1ステップの現状把握では、アプリケーション一覧やサーバー構成、利用リソース、可用性・SLA要件などを整理します。移行による影響やリスクを事前に把握し、システム特性に応じた最適な移行方法を選ぶための土台となります。第2ステップの依存関係整理では、アプリケーション間の連携やDB・外部サービスへの依存を可視化し、移行の影響範囲と優先順位を明確にします。VM単位でアプリとミドルウェアが密結合している状態や、スケールが困難な構成、リリースに時間がかかる構造などの課題がここで浮かび上がります。第3ステップで、アプリケーション特性に応じてRemain/Replatform/Refactorの移行戦略を選定します。

実際の移行作業には、無償ツール「Migration Toolkit for Virtualization(MTV)」が活用できます。OpenShift Virtualizationに標準搭載されているため追加オプションは不要で、GUI操作により複数の仮想マシンを同時に移行設定・実行できます。移行後は、Step1の「脱VM・安全移行」から始まり、Step2で稼働状況を評価しながら運用コストを最適化し、Step3でマイクロサービス化などの再設計によるクラウドネイティブ化を目指す、段階的なモダナイズの進め方が示されています。なお、ROSAで対応していない古いOSのVMについては、一旦EC2へ移行したうえで、順次ROSAへの移行やモダナイズを検討するという段階的な集約の考え方が有効です。

具体的な一歩を踏み出すための支援策も用意されています。「VMware移行体験パック」は、費用200万円(税抜)、期間2か月で、対象となる仮想マシン3~5台のROSAへの移行と移行後のコンソール運用を体験できるプログラムです。また、2026年8月25日(火)には、シーイーシー恵比寿本社にて「OpenShift Virtualizationの基礎」をテーマとしたハンズオンセミナーが開催予定です。定員30名(応募多数の場合は抽選)、参加費無料の事前エントリー制で、実際の操作を通じて移行手順を確認できます。
VMware環境の見直しは、コスト増への対応として始まったとしても、そこで止める必要はありません。3ステップの検討を経て、段階的なモダナイズへとつなげることで、刷新投資を競争力強化の一手に変える道筋が見えてきます。まずは現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問

VMwareからの移行先として、まずは同種のオンプレミス仮想化基盤への移し替えを検討しています。ROSAのようなコンテナ基盤まで一気に踏み込む必要はありますか?

一気に踏み込む必要はありません。OpenShift VirtualizationはVMをそのまま稼働させられる設計のため、まずはReplatformとしてVMを移し、運用に慣れた段階でStep2の運用最適化やStep3のクラウドネイティブ化へと段階的に進める進め方が想定されています。移行時点でコンテナ化を強制されるものではなく、VMとコンテナを同一基盤で扱える点が、将来の選択肢を残す意味でメリットとなります。

OpenShift Virtualizationは、既存のVMware上で動かしているアプリケーションをそのまま動かせますか?

ハイパーバイザーにKVMを採用した仮想化基盤としてVMを稼働させることができ、Migration Toolkit for Virtualization(MTV)を使うことで、VMware上の仮想マシンを複数台同時に移行できます。構成を変更せずそのまま新基盤へ移すReplatformの進め方が可能です。ただし、対応OSなどの前提条件があるため、現状把握のステップで移行対象の構成を確認することが前提となります。

ROSAとEC2への直接移行では、どのような違いがありますか?

ROSAはレッドハットとAWSが共同で提供するフルマネージド型のOpenShiftサービスで、専門エンジニアによる24時間365日の運用・サポートが含まれます。コスト面では、EC2への直接移行と異なり、仮想マシン単位でハイパーバイザー上にオーバーコミットできるため、リソース利用効率の向上によるコスト最適化が見込めます。さらに、VM稼働からコンテナ化まで一つの基盤で進められる点も大きな違いです。

ROSA非対応の古いOSを使っているVMは、どう扱えばよいでしょうか?

ROSAで対応していない古いOSのVMについては、一旦EC2へ移行したうえで、順次ROSAへの移行やモダナイズを検討するという段階的な集約の進め方が示されています。対応OSのVMはMTVで直接ROSAへ移行し、非対応のものはEC2経由とする形で、無理なく全体の移行を進めることができます。

社内で移行判断を進めるための第一歩として、何から始めればよいですか?

まずは現状把握から始めるのが確実です。アプリケーション一覧やサーバー構成、利用リソース、可用性・SLA要件を整理したうえで、依存関係を可視化し、移行戦略を選定するという3ステップの流れが基本となります。実際の操作感を確かめたい場合は、「VMware移行体験パック」(200万円・税抜/2か月/3~5台)や、2026年8月25日開催のハンズオンセミナー(参加費無料・事前エントリー制)を活用する方法もあります。

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