Copilot for Microsoft 365の導入ポイントと事例 – 広まる生成AIツールの活用法
生成AIは今や多くのビジネスの領域で活躍している注目のテクノロジーです。多くの企業で使用されているMicrosoft 365にも「Copilot」と呼ばれる生成AIサービスが実装され、さらなる業務効率化が期待できます。
この記事では、Copilot for Microsoft 365の導入にはどのようなメリットが期待できるのか、具体的な事例に触れながら導入時のポイントや導入手順などを解説します。
- 本記事の内容は2024年7月時点の情報を基にしています。
Copilot for Microsoft 365とは
Copilot for Microsoft 365は、Microsoft 365上で使える生成AIサービスの一種です。マイクロソフト社独自の生成AIは「Bing Chat」として登場しました。その後、AIモデルの刷新とパフォーマンス向上に伴い、Bing上で利用可能な「Copilot」に名称を変更し、現在はCopilot for Microsoft 365として展開されています。
生成AIについてはこちらの記事で詳しく紹介しています
Copilot for Microsoft 365の主な特長と機能について詳しく見ていきましょう。
大規模言語モデル (LLM) を活用して、コンテンツの理解、要約、予測、生成を行う人工知能 (AI)
Copilotは、OpenAIの大規模言語モデル「GPT-4」をベースに、マイクロソフト社がMicrosoft 365向けに最適化した生成AIサービスです。
Copilotにテキストを読み込ませることで、その内容の理解や要約、テキストデータに基づく予測、そして命令に沿ったテキストの生成など、幅広いタスクを実行できます。
Microsoft 365との統合
Bingから広くユーザーに提供されてきたCopilotは、2023年にマイクロソフト社と統合しCopilot for Microsoft 365となり大きな注目を集めました。
Copilot for Microsoft 365は、Copilotの機能をMicrosoftに特化した形で使用できるサービスです。プロット作成や音声データの文字起こし、自動の日報作成など、Microsoft 365で行っていた日々の業務を大幅に効率化したり、自動化することができます。
セキュリティとデータ保護対策
Copilot for Microsoft 365は、セキュリティ面にも配慮されています。サービスの利用中はMicrosoft 365が有する高度なセキュリティ機能を使用でき、情報漏えいのリスクを最小限に留められます。
また、学習モデルにOpenAIのGPTシリーズが使用されていますが、入力プロンプトの共有は無効化されており、Microsoftのプライバシーポリシーに基づいたサービスが利用できるため、第三者に情報が流出するリスクを大幅に減少させることができます。
Copilot for Microsoft 365の活用によるメリットや効果
Copilot for Microsoft 365の導入によって、具体的にどのようなメリットや効果が期待できるのでしょうか。以下の3つのポイントを確認しましょう。
指示内容に基づいた提案資料の作成
Copilotにテーマや資料を与えれば、それに沿った提案書や企画書の下書きを自動的に作成できます。あるいは、文章のトーンの調整やアイデアの列挙、書いた文章に対する改善案の提示といった用途にも使えます。
会議の議事録を自動生成
Teamsと連携すれば、議事録を自動作成できるようになります。また、オンライン会議中に要点をまとめてもらうことも可能です。
メール文を作成
Outlookとの連携で、やり取りの要約やメール文の作成が可能です。相手とのやり取りを踏まえた返信の下書きや定型文も自動作成でき、自分で書いた返信文のフィードバックを得ることができます。またやり取りしたスレッドをCopilotで要約すれば、読み返す手間を削減できます。
Copilot for Microsoft 365の導入事例
Copilot for Microsoft 365は、すでにさまざまな会社で導入され、目に見える成果を残しています。
Copilotで、品質のバラつき改善や初動のスピードアップを実感
Copilot for Microsoft 365の導入によって業務効率化を実現した、実演販売や商品企画を手がける株式会社コパ・コーポレーション様の事例をご紹介します。
これまで手動で作成していたトークスクリプトには品質にばらつきがあり、作成自体も負担でした。
そこで生成AIの導入の検討が進んでいたものの、ChatGPTなどのオープンソース製品では機密情報漏えいの懸念がありました。
しかし、Windows製品のCopilotであればセキュリティ問題もクリアできるので、安心して導入を進められます。同社ではCopilot for Microsoft 365を採り入れることでトークスクリプトの制作時間の短縮や品質の標準化、ノウハウ共有が進みました。Copilotを成長の起点として活用し、スムーズな業務効率化を達成しています
株式会社コパ・コーポレーション様のCopilot for Microsoft 365の活用事例は以下で詳しく紹介しています。
進化を続けるCopilotの最新機能にも注目
Copilot for Microsoft 365はすでに高品質な生成AIサービスですが、今後の機能改善や新機能の追加にも注目を集めています。たとえば機能改善によって、以下のようなユーザー体験の向上が期待されています。
- Copilot in Whiteboard
複数のユーザーが同時にホワイトボード上で作業し、アイデアやプロジェクトの進行を共有することができます。 - 「DALL-E」をPowerPointに取り込む
画像生成に特化した「DALL-E」というAIモデルで与えられたテキストの説明に基づいて、対応する画像を生成できます。「DALL-E」で生成された画像は、PowerPointのスライドに追加できます。(※「DALL-E」は別途ライセンスが必要です) - Copilot in OneNote
OneNote上でアイデアや情報を共有したり、コメントを追加したりすることで、チームメンバーのコラボレーションを円滑に進めることができます。 - Copilot in Loop
プロジェクトの進捗状況やタスクのステータスを可視化するダッシュボードやレポートを提供できるため、効率的なタスクやプロジェクト管理をサポートします。 - Copilot in Viva Learning
ユーザーの学習ニーズや興味に基づいて、適切な学習コンテンツを提案したり、学習の進捗管理ができるため、学習体験をより効果的かつパーソナライズ化できます。
Copilot for Microsoft 365の導入ポイントについて
Copilot for Microsoft 365の導入を検討している場合、以下のポイントについて理解しておくことが重要です。
個人使用向けと一般法人向け
Copilot for Microsoft 365は、当初法人向けでしたが、2024年1月から個人向けプランも登場しました。LLMはOpenAIのGPT-4 Turboを搭載しています。少ないライセンス数から、自身のニーズに合わせて利用でき、業務効率化を実現できます。
条件を満たす Microsoft 365 プランのライセンスが別途必要
Copilot for Microsoft 365の月額サブスクリプション契約は、別途Microsoft 365のライセンスを保持している必要があります。
- Microsoft 365 Personal
- Microsoft 365 Family
- Microsoft 365 E3/E5
- Microsoft 365 F1/F3
- Microsoft 365 Business Basic
- Microsoft 365 Business Standard
- Microsoft 365 Business Premium
- Office 365 E1/E3/E5
- その他関連するMicrosoft 365プラン
導入前の準備と導入手順
Copilot for Microsoft 365の導入に際しては、以下の準備を行っておきましょう。
Microsoft 365の導入
Copilotの導入にあたっては、Microsoft 365の導入が必要です。Copilotの利用には、ビジネスおよびエンタープライズのMicrosoft 365プランの場合、以下のライセンスを保有する必要があります。
- Microsoft 365(E5/E3/F1/F3)
- Microsoft 365 Business(Basic/Premium/Standard)
- Microsoft 365 Apps(for business/for enterprise)
詳しくは以下のページでご確認できます。
同時にセキュリティ対策とデータ管理も欠かせません。導入段階では部分的な導入から始め、徐々に組織での利用範囲を拡大していくのが導入のコツです。
導入前に知っておきたいポイント3つ
誤った内容を回答する可能性がある
Copilotの回答は常に正しいとは限りません。あくまでもパターンや確率に基づいた生成であるため、幻覚(ハルシネーション)と呼ばれる間違った答えや不適切な表現が含まれている可能性があります。
Copilotが生成した回答は鵜呑みにせず、人間の目で評価、事実確認をすることが大切です。
Microsoft 365のライセンスが必要
Copilotを使用するにはMicrosoft 365のライセンスが必要です。
買い切り型であるMicrosoft Office 2021などを使用している場合、Copilotは利用できません。
データの権限設定
Microsoft 365のCopilotは、システムで設定されたデータ権限やアクセス制御を機械的に判断して、コンテンツ利用の可否を決めています。
このためCopilotを導入する際には、情報漏えいリスクの原因となる権限管理を適切に行うことが重要です。
セキュリティサービスについては以下で詳しく紹介しています。
Copilot for Microsoft 365を導入・活用するならシーイーシーにお任せください
「Copilot for Microsoft 365」は、今までの仕事のやり方に大きな変化をもたらす可能性のある技術で、さまざまな応用が期待されています。しかし、その利用に伴うセキュリティリスクにも注意が必要です。
外部の専門サービスを利用することで、リスクを最小限に抑えつつ、安心して生成AIを活用することができます。
シーイーシーは、Copilot for Microsoft 365の導入実績などを基に初期設定、運用方法など様々な場面で適切な選択をご提案いたします。AI導入に関する無料相談会も随時開催中!お気軽にお申し込みください。
まとめ
この記事では、Copilot for Microsoft 365の概要と具体的なメリットを解説しました。Microsoft 365との統合により業務効率を大幅に向上させ、セキュリティ面でも配慮されたこのサービスは今後、ビジネス環境に欠かせない存在となるでしょう。
導入に際しては、データの権限設定や段階的な運用など、慎重な計画が必要です。また、クラウドサービスの利用に伴い、自社環境に合わせたセキュリティ体制の整備も求められます。シーイーシーでは安全性と可用性の両立を図るソリューションを提供しております。ご興味のある方は、以下のページからお問い合わせください。
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